疲れやすい子どものケア:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.25

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

すぐ疲れてしまう子ども

得原さんこんにちは。4歳(年中)の女の子の母です。
幼稚園に通っているのですが、体力がないのか園の活動についていけないようです。外遊びが盛んな園で、いまの季節は運動会の練習もあり、降園時にはもうぐったり。帰宅後は夕食前まで昼寝をしています。日中も、「つかれてる」と泣いてしまうこともあるようで、先生にも「生活リズムを見直してください」と言われています。休日も外遊びをしたがらず、基本的に家の中で遊んでます。食事は残すこともなくしっかり食べており、睡眠時間も9時間ほどあるので足りていると思うのですが、とにかく体力がもたないようでこの先が心配です。

まずは身体の様子をチェックして

こんにちは。ご質問ありがとうございます。4歳になるお子さんの体力について心配されているのですね。幼稚園の先生からのアドバイスは生活リズムに関するものなのだけれど、ちゃんと眠っているし食べているし・・とお母さんも思いつくことはいろいろ工夫されてきたとのこと。今日はいくつかの視点に分けて、子どもの疲れやすさについて考えたいと思います。

まず、お子さんの顔色は悪くありませんか。あっかんべーと下瞼を軽く引っ張って、内側の粘膜の色をお母さんと比べてみてください。お母さんと同じようにしっかり赤いでしょうか。つかれやすい原因を考えるとき、たとえば貧血などの可能性もあります。3歳児の健診からしばらく経って、あまり子どもの体調を見てもらう機会が少ないようでしたら、一度小児科で相談してみるというのもひとつの選択肢です。まずは「身体が健康!」ということを確認してみてもいいかもしれません。

医学的な心配がなくなれば、つぎに生活リズムを確認してみましょう。幼稚園の先生がおっしゃっている「生活リズム」の見直しは、具体的にどのような点を心配いただいているのでしょう。幼稚園で、お昼を食べないのかしら。朝、眠そうなのかしら。そこはゆっくりお話をしてみたいですね。
もし先生も、疲れの原因がわからなくて、もしかしたら家での生活が・・・
と漠然と思っていらっしゃるのだとしたら、生活の様子をお伝えしながら、どのような工夫をしたら良いかも含めて話し合いができるといいですね。

食事は「1日4食」と考えて

食事と睡眠については、いくつかヒントをお届けさせてください。子どもの食事については、3食+補食が必要です。幼稚園だと、お昼ご飯までで帰宅することが多いのではないでしょうか。4歳ですと、帰宅してお昼寝、そのあと補食をとる流れかなと思います。この補食は、お菓子ではなくておにぎりと果物、など「これは食事なのでは?」と思う質と量をイメージしてください。まだ胃が小さいので、一度の食事でエネルギーを維持できる時間は3〜4時間です。夜9時間眠っているとすると、日中起きている時間は15時間あるわけですから、7時半、11時半、15時、18時半、そのくらいのペースになりそうですね。1日4食が基本、と思ってくださいね。

睡眠の「適量」には個人差がある

睡眠は、イギリスのNHS(https://www.nhs.uk/conditions/baby/caring-for-a-newborn/helping-your-baby-to-sleep/ )という日本の厚生労働省の広報のような組織のホームページによると、4歳児だと8〜14時間必要と言われています。個人差が大きいのですね。その中で、お子さんの「9時間」で十分か?を判断するには、お子さんの様子を観察するしかありません。朝、スッキリ起きてくることはできるか、夜は布団に入ってからの入眠がスムースか、など、確認したいですね。朝スッキリ起きられないときには、夜間の室温や服装が暑すぎないかなど、睡眠が浅くなりそうな要因を考えてみることも良いと思います。

不安や不満が「疲れた」になることも

さて、ここまでは、お子さんが「身体的に疲れていたら」という視点でお話を進めました。最後に、お子さんの「言葉」と「心」について考えてみましょう。
4歳のお子さんですと、まだまだ自分の状態を表す言葉の語彙が少ないものです。いやなこと、気分が乗らないこと、つまらないこと、疲れていること、など全てを正確に言葉で伝えるのはなかなか難しいことがあります。疲れた、と泣くことでケアしてもらった経験があれば、同じ行動を取れば大人がケアしてくれる、と理解しているかもしれません。これについては一朝一夕で解決する問題ではないので、日頃から、体調や気分などを大人と話をする習慣を持つことも大切ですね。
また、言葉がまだまだ未熟なのと同じように、心の安定もまだ自分ではコントロールできない時期です。何か不安や不満があったときに、そのことを冷静に心を落ち着けて大人に伝えるには、自分の気持ちを差し置いて行動する力が必要です。大人も毎日仕事に出ていれば、楽しいことも嫌なこともありますし、今日は行きたくないな、という日もあるでしょう。子どもは、自分のそうした気持ちの波に合わせて生活スケジュールを調整することができませんから、今日はもう帰りたい気持ちだな、家にいたいな、と思ったときに「疲れる」と訴えているのかもしれません。
いずれにしても、ゆっくりお子さんとお話する中で、身体の調子、気持ちの様子をじっくり観察できるといいですね。心身についての話ができるようになると、この先小学生になっていく段階でお母さんもとても助かると思います。長い目で、成長を待ちたいですね。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。