子どもがまた寝なくなった…昼夜逆転生活改善のコツは?|理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.21

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

また昼夜逆転生活?この先の生活が不安です・・

得原さんこんにちは!生後7ヶ月の男の子の母です。
息子は生まれた頃からいわゆる「寝ない赤ちゃん」。新生児期は完全に昼夜逆転状態でした。3ヶ月あたりから落ち着きはじめ、ようやく生活のリズムができてきたと思っていたら、最近またなかなか眠らなくなってきて、困っています。

夜にかけてテンションが上がるのか、21:00過ぎにベッドに連れていっても目はらんらんとしていて、きゃーきゃーとおしゃべりしていたり、ベッドの上でどたんばたんと動き回って楽しそうです。見守っている母はつらいです。
4月に育休復帰して私も仕事しているため、新生児の頃と違って夜の「寝ないもん!」におつきあいする気力も体力もなく…。本音は放っておいて寝ちゃいたいのですが、元気に動き回るので怪我でもしたらと思うと心配で寝れません。

体力がついてきた時期の息子におすすめの寝かしつけを教えてもらえると嬉しいです。

睡眠が安定するには時間がかかることも

こんにちは。ご相談ありがとうございます。7ヶ月のお子さんと生活しながらお仕事に復帰されているとのこと、毎日おつかれさまです。まだまだ生活のリズムを整えることが難しい時期ですよね。寝返りやずり這いをはじめる頃になると、動いた先に危険がないかも心配ですね。

今回は、生後半年から1年くらいの頃の入眠や睡眠について、いまできる工夫をお伝えしていきたいと思います。

まずはじめに、ちょっと残念に感じてしまうかもしれないお話をしてもよいでしょうか。生まれて7ヶ月頃の赤ちゃんの睡眠について、これをすれば必ず眠ることができる、という万人共通の方法はありません。いろいろな方法について情報が溢れていますが、どの赤ちゃんにどの方法が良いか、の判断も難しいです。

赤ちゃんは、それぞれ個性を持って生まれてきますし、生活のリズムやサイクルが整ってくるタイミングもそれぞれです。また、よく眠る時期もあれば、そうでなくなる時期もあったりします。一般的には、1歳前後で少しずつ夜長めに眠る習慣がついてきて、昼間の睡眠の時間が短くなってくる(お昼寝が3回から2回に減ってくるなど)と言われていますが、それについても、「皆がそうである」ということではありません。3歳〜4歳くらいまでは、夜中に目が覚めてしまうこともありますし、自ら入眠することができるようになるのにも、もう少し時間が必要だったりします。

「先が長いなあ・・・」とため息が出てしまうこともあるかもしれませんね。
けれども、これから先、少しずつでも生活のリズムをつけ、スムースな入眠をしていってもらうための工夫がないわけではありません。ただ、生活リズムを作るというのは時間がかかることなので、お母さん、お父さん、ご家族との生活の中で焦らずゆっくり工夫を取り入れていってくださいね。

大人も一緒に寝るのがベスト!そのための環境設定を

まず、お仕事をされているお母さん、お父さんが眠れないことは大きな問題ですね。ご質問の内容からすると、お母さんが先に寝てしまうと動き回って怪我をしてしまうのではないか・・・と不安とのこと。そんなときは、危ない要素を寝室から排除してしまうのが一番早い対策です。危ない要素をなくして、部屋を暗くして、お母さんは先に寝てしまいましょう。大人が起きていると、遊んでほしい子どもは眠る気持ちに向かいづらくなります。薄暗い部屋で、お母さんが寝てしまえば、子どもも眠らざるを得ません。保育園でのお昼寝で子どもたちが比較的スムースに入眠するのは、皆が寝ている雰囲気があるからでもあります。ぜひ試してみてください。

この方法を試すときに寝室からなくしておきたい危ない要素は、落下する段差ふわふわで柔らかく大きなかけ布団やぬいぐるみ上からものが落ちてくるような環境、の三つです。

・ベッドを壁際に密着させて、高いようなら床にマットを敷く
・できれば床に直接マットレスを敷くスタイルを導入する
・子どもが絡まって窒息してしまいそうなふわふわなものは置かない
・動き回ってタオルケットなどを蹴ってしまっても大丈夫な室温に設定する
・本棚や飾り棚などはものが落下しないように工夫する

など、安心してお母さんが先に眠れる環境を整えましょう。赤ちゃんはまだこの世界のリズムと自分の身体の中のリズムが一致しない頃ですから、まずはお母さんがご自身の体力を確保するためと思って、ご自身が眠れる方法を考えてみてください。

「ルーティンづくり」と「観察」で、生活リズムを整える

寝室の環境設定の他にも、赤ちゃん自身の入眠リズムを整える工夫もあります。
まずは、よく言われることですが、規則正しい生活リズムを作ることです。これは、保育園に通っていらっしゃるということなので、きっとチャレンジされていることと思います。毎日同じ時間に起きる、食べる、遊ぶなどの活動を行うと、赤ちゃんの体内時計が整って自然な睡眠リズムが身につきやすくなると言われているので、お休みの日も、そのリズムを崩さないように平日と同じタイミングで起床・お昼寝などできるといいですね。そのために、保育園でどのようなリズムで生活をしているのか、どんな工夫をするとお昼寝しやすいのかなど、日頃お子さんを見ている保育士さんに相談してみるのもいいと思います。

つぎに、寝かしつけのルーティンを作っていきましょう。お風呂に入れる、絵本を読む、静かな音楽を流すなど、同じ手順を毎晩行うことで、赤ちゃんはそのルーティンに慣れて、睡眠に向かいやすくなっていきます。すぐに、とはいきませんが、いつも同じであるということで生活への安心感も育っていきます。入眠の際の関わりも、抱っこして寝かせる、揺らす、子守唄を歌って聴かせるなど、お子さんが好む方法を見つけることができるといいですね。お子さんは、どんなときに落ち着いた様子になりますか。

そして、寝かしつけ前の時間帯は、明るい照明やテレビの画面、動きの激しいおもちゃなどを避けて、ゆったり落ち着いて過ごせるようにしましょう。よく観察してみると、赤ちゃんが眠そうなサインを出していることもあります。例えば、目をこすったりゆらゆらと体を揺らす仕草ひとりで静かに遊ぶなど、なんとなく落ち着いて眠そうだな、と感じたら、その時間がいつもより早くてもそのまま入眠へ向かってしまってOKです。その際に、赤ちゃんは主たる養育者とのスキンシップで安心感をおぼえます。抱っこなどで、肌と肌を触れ合わせる時間を増やしてみてくださいね。

指しゃぶり、耳触りなど「自分を落ち着かせる方法」を覚えることも

7ヶ月頃というのは、少しずつ外界への移動やアプローチがはじまって、赤ちゃん自身の脳もとっても忙しく活動するので、眠りが浅くなることもよくあります。大人も、新しい刺激のあった日には眠りづらくなったりしますよね。赤ちゃんにとっては毎日が発見と新しい刺激の繰り返しですから、脳もなかなか落ち着かないのでしょう。そんなとき、大人だったら何をするでしょう。ぬるめのお湯に長く浸かったり、ストレッチで身体を緩めてみたり、お気に入りの静かな音楽を聴いてみたりするのではないでしょうか。そのような方法を、英語でself-soothing(セルフ・スージング)といいます。自分を落ち着かせる方法、ということですね。

1歳少し前、ずり這いやはいはいが活発になって外界への意識が育ってくると、赤ちゃんも「自分で自分を慰める方法」を少しずつ覚えていきます。たとえば、自分の指をしゃぶってみたり、おしゃぶりを咥えたり。自分の耳たぶや髪の毛を触る子もいれば、ぬいぐるみやブランケットがあることで安心できるという子もいます。方法は赤ちゃんそれぞれですが、何かしらその子の持つ「ツボ」を見つけられたらラッキーですね。

ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。