気になる「子どもの姿勢」を整えるために、日頃からできること|理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツvol.13

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。MotherRingサポーターでもある運動発達の専門家、理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

姿勢の悩みは尽きない

子どもの姿勢は、子どもが座ったり立ったりするようになる頃から思春期にかけて、実に長い期間、多くの親御さんの共通の悩みでもあります。乳幼児では食事の際の姿勢、小学校に入ると授業中の姿勢、中学生・高校生ともなると立ち姿勢も気になる、という相談をよく受けます。大人も、自分の姿勢について気になることがありますよね。
もちろん身体そのものについても、姿勢を変えるためにできることはあるのですが、意外と盲点になっているのが環境(使う道具や道具との位置関係)の問題です。今回は、乳幼児の座り姿勢について考えたいと思います。

座り姿勢を保つ身体の仕組み

座る姿勢を正しく保つためには、下半身の安定感で上半身を支える必要があります。積み木を想像してみてください。下の方の積み木がグラグラと不安定な状態では、バランスがとれませんよね。人間は姿勢を保とうとする際に、目や三半規管のある頭の平衡を取ろうとするのですが、頭は一番上の積み木のようなものです。下半身が少しでもグラグラしていると、頭が揺れて視界が動いてしまいますし、揺れていては乗り物に乗ったような状態になってしまうので、食事に必要な安定が得られません。そこで、頭が動かなくて済むように、身体は下半身を安定させようとします。

姿勢が悪いように見えるときにも、その姿勢は下半身を安定させて頭を動かさずに済むような形になっています。例えば、背中を丸めて背もたれに体重を委ねれば、身体は揺れずに済みます。身体を斜めにして肘掛けに寄りかかれば、お行儀は悪いですが安定することができます。背もたれや肘掛けは、行き所のない身体を支えるための道具なのです。

では、いい姿勢と呼ばれる姿勢では、身体のどの部分で体重を支えているのでしょうか。それは、坐骨と、足の裏です。坐骨というのは、骨盤の下部にある骨で、座ったときにお尻の下に手のひらを挟むと突起を感じることができます。左右に一対、坐骨の突起があります。この突起の部分が座面に立つような状態だと、骨盤の角度が正常に保たれ、その上につながる背骨もきれいなS字カーブを保つことができます。けれども、坐骨のこの突起は面積が狭いので、この部分だけでは下半身の安定性が保てません。そこで登場するのが足の裏です。足の裏でしっかり体重を支えることができると、骨盤は坐骨での支えでも十分立てておくことができるのです。

座り姿勢を整えるには椅子の高さの調整が必要

足の裏にしっかり体重をかけるのには、コツがあります。それは、股関節と膝関節を直角か、直角よりももう少し曲げた状態まで、しっかり曲げることです。曲げ方が浅いと、足の裏は前方に滑り出してしまうので、うまく重さを受け止められません。ですから、股関節や膝関節をしっかりと曲げるために、身体にあった座面高の椅子が必要、ということになります。(これは、大人も同じです。海外規格の椅子は座面が高すぎることが多いので、注意が必要です。)

すでに購入してしまった椅子の座面が高すぎる場合には、足の下に台を入れるという選択肢もあります。お菓子の箱や、雑誌を束ねたものなど、子どもが食事中に食べ物を落として汚れてしまっても気にならないものを使うと安心です。最近は、成長に合わせて座面と足台の位置を変えることができる椅子も市販されているので、ご自宅の食事環境に合わせて賢く選ぶことができるといいですね。

産後のお母さんにも椅子のフィッティングを

産後のお母さんにも、正しい高さの椅子を使う大きなメリットがあります。妊娠で緩んだ骨盤や腹部の筋をしっかり回復させるためには、いい姿勢を取り戻すことが不可欠なのです。

 

特に産後すぐには、高さの合った椅子と授乳クッションを使って、身体をしっかり立てて授乳することをお勧めします。ミルクをあげる際も同様です。産後すぐには身体をまっすぐ立てるための筋の力が衰えているので、こうして道具の力を借りながら、身体の安定を保つ工夫をすると身体の機能の回復を促進しましょう。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。