子どもの睡眠と生活習慣(上)|運動発達の専門家、理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツvol.4

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

新生児から1年くらいかけて、地球のリズムを理解する

生まれて間もない乳児は、昼夜の区別がついていません。ずっとお母さんのお腹の中で育ってきて、あったかくて薄暗い世界に包まれていたので、昼になると目が覚めて、夜になると眠くなる、というリズムをまだ獲得していないのです。お母さんのお腹の中から出て、地球の24時間のリズムを少しずつ身体が理解し始めるのが生後1ヶ月頃と言われています。

その頃になると、脳内の器官(松果体)から、メラトニンという体内時計を司るホルモンが分泌されるようになります。メラトニンは、、明るい光を浴びると分泌が抑制されて、暗くなると分泌量が増えることで、身体中の細胞に「いまは昼だよ」「夜になったよ」と教えてくれる役割を果たしています。生後1ヶ月頃から1年くらいまでの間に、急速に分泌量が増えていきます。

こちらのグラフを見てください。

これは、24時間の赤ちゃんの睡眠を一本の横線で表して、それを半年分並べたものです。黒い線の部分が「睡眠」を、線が途切れた部分は「覚醒」を表します。生後1ヶ月頃から少しずつ、黒い線が長くまとまってきていますね。こんなふうに、だんだんと身体のリズムが整っていくのです。
実はその後も、10歳頃までゆっくり時間をかけてメラトニンが十分に分泌され続けることで、睡眠・覚醒パターンが確立されていくと言われています。大人と同じ、昼寝なしの睡眠リズムを獲得するのはだいたい6歳くらい。つまり、生まれてから10年かけて、その後の数十年を生きていくための昼夜のリズムを身につけていくわけです。長い道のりですね。

また「浅い眠り(レム睡眠)」「深い眠り(ノンレム睡眠)」の割合も、乳幼児と大人で違うことがわかっています。生まれて半年くらいまでは、睡眠時間の4割は、レム睡眠をしています。3歳から思春期まで少しずつ減少を続けます。レム睡眠の多さは、脳の発達に関係があると言われています。「寝かせてもすぐに起きてしまう」という悩みも、「今、脳が成長している」と思うと、少し見え方が変わってくるかもしれません。

「寝る子は育つ」なんていうことわざもありますが、安定した睡眠の獲得は、夜間に多く分泌される成長ホルモンの働きを助けますし、睡眠時間の確保は子どもの精神的な安定と直結していることが科学的に証明されています。忙しい子育ての中で、どうしても削りがちになってしまう睡眠ですが、本当は心身を育てる一番の薬でもあるのです。

リズムを身につけてもらうための生活のコツ

赤ちゃんが昼夜のリズムに慣れていく過程で、大人がサポートできることもあります。また、赤ちゃん自身が動けるようになってくれば、日中の活動時間を増やして身体をしっかり使ってもらったり、食事の時間を工夫するなど、できることも増えていきます。まずは、新生児からできる、睡眠のための三つの工夫をご紹介します。

就寝時間と起床時間を決める
まずひとつ目は、生活の中で赤ちゃんの就寝時間と起床時間を決めることです。もちろん、赤ちゃんははじめのうちは短時間で寝たり起きたりを繰り返すのですが、就寝時間と起床時間は、昼と夜の「地球のリズムを知るためのもの」だと思って、「さあ眠る時間だよ」「さあ起きる時間だよ」、そう声かけする時間を決めましょう。

眠る前には眠る環境を整え、朝起きたら光を浴びる
就寝時間を決めたら、その1時間前から雰囲気づくりをします。徐々に生活全体の音を小さくし、部屋の電気を薄暗くし、夜が来たことを教えてあげてください。家族の中での会話も少しトーンを下げて、テレビや携帯など強い光の出るものが赤ちゃん周辺にないようにします。また、眠る部屋が涼しいことも大切です。赤ちゃんの体温は高く汗をかきやすいので、もし眠っている間に額がペトペトするくらいの汗をかいていたら、部屋が暑い証拠です。温度を下げましょう。
起床時間にはカーテンを開けて、部屋を明るくしましょう。起床時間よりも日の出が早い場合は、遮光カーテンなどを利用してメリハリをつけても良いです。

安心して眠れるような穏やかなルーチンを繰り返す
赤ちゃんにとっては、眠りにつくこと自体が、起きてお父さんやお母さんと楽しい時間を過ごすことから離れる行為でもあり、成長してくると眠りたくないと訴えることもあります。安心して眠りにつけるよう、眠る環境を整えたら、静かに歌を歌ったり、小さな音量で決まった曲を流したり、本を読み聞かせてみたり、静かで幸せな時間を演出しましょう。
沐浴や入浴を、就寝1時間前くらいに終わるようにルーチンを組むのもおすすめです。睡眠に入る過程で体温が自然に下がっていくことを利用して、お風呂上がりの少し上がった体温が冷めていくリズムに合わせるのです。
また、安心のためには、近くで大人が寝ていることが有効な場合もあります。お部屋の環境が許せば、就寝のタイミングで添い寝してあげるのもいいかもしれません。

睡眠のリズムは徐々に整っていきますが、24時間のうち、新生児で17時間、1歳ー2歳で13−14時間の睡眠が途切れ途切れでも取れていれば問題ありません。あまり焦らず、できることから生活習慣を整えて、長い目で成長を待ちましょう。

また、赤ちゃんの睡眠時間に左右される養育者の睡眠不足もあまり取り沙汰されませんが大きな問題です。まとまった睡眠時間の確保は、大人にとっても心身の安定に欠かせないものだからです。母乳で育てているお母さんは特に、授乳以外の家事を支えてもらえるマンパワーを探しましょう。混合やミルクで育てている場合には、夜間、家族に頼って交代してもらえる日を作りましょう。それから、赤ちゃんが眠っている時間に家事をしようと起き上がらないことです。一緒に眠ってしまいましょう。まずは養育者の健康が、第一です。家族や地域、福祉、民間サービスに支えてもらってください。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。