子どもの食べこぼしが気になる:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.29

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

<目次>
1.離乳食の食べこぼしが気になる
2.食べ方上達のための2つの視点
3.①自分の意思で試行錯誤できる機会を増やす
4.②食べ物をあえて「大きいまま」で渡してみる
5.口周りのかぶれは小児科での相談も

離乳食の食べこぼしが気になる

藍さんこんにちは!
1歳半になる娘のことについて相談させてください。
離乳食完了期で、手づかみ食べ中心なのですが、不器用なのか、食べ物をじょうずに口へ持っていくことができず、食べこぼしがすごくて気になっています。家では床に新聞紙を引いているので掃除の手間はそんなにかからないのですが、およばれしたときや外食のときにとても気を使います。また、食事のたびに、口の周りが汚れてしまい、しょっちゅうかぶれているのもかわいそうで・・・
「お口はここだよ」と娘の手をもって口の方に誘導したりするのですが、嫌がってふりほどかれることも多く、どんなふうにサポートしたらいいか困っています。
何かいいアドバイスがあれば、ぜひお願いします!

食べ方上達のための2つの視点

こんにちは。ご質問ありがとうございます。1歳半の娘さんの食事についてのご相談ですね。手づかみ食べでもりもり食べている様子、食べものに興味があるということは、しっかり動いてお腹が空く生活を送ることができているのでしょう。健やかですね。親御さんは、楽しく食べているけれども、お口の周りのかぶれが気になるのですね。できている口の周りのかぶれは防げるものなら防ぎたいですね。

手づかみ食べをしているとのことですが、カトラリーは食卓に出してありますか?お父さんやお母さんが箸やカトラリーを使って食べているところをずっと見てきているでしょうから、もしかしたらそろそろカトラリーに手が伸びるかもしれませんよ。本人が使っても、使わなくても、まずはきっかけになるように置いてみるのもいいかもしれませんね。
今日は、上手に食べるようになるための工夫について、ふたつの視点で考えてみたいと思います。

①自分の意思で試行錯誤できる機会を増やす

まず、1歳半くらいの年齢の子は、ここから少しずつ手先が器用になっていく発達の途上にあります。大人から見れば不器用ではあるのですが、それはどの子も通る道だと思ってください。このことに関しては、周囲の大人が手を持って誘導してもあまり効果はありません。手先を上手に使えるようになるには、自分の意思で試行錯誤して練習することが大切なので、外から指導するのは難しいのです。もしこの手先の器用さについて何かできる工夫があるとすれば、いろんなもので遊ぶ機会を持つのが良いでしょう。何か特別なものが必要なわけではありません。例えば公園に出かけたら、花や草を摘んだり、どんぐりや石を拾ってみましょう。水道があれば、水を出すために蛇口をひねってみましょう。地面を触って、土や道路の感触の違いを楽しんだりするのもいいですね。促さずとも、気になるものがたくさんある場所では自然と手が伸びると思います。いろいろなものを、自らの意思で触る体験が、子どもの手の感覚を育てます。家の中だとどうしても、木やプラスチック、ステンレスなど、素材や形状が「道具」としてのものに限られてしまうので、それとは違う手触りの体験を増やしてみてください。

②食べ物をあえて「大きいまま」で渡してみる

つぎに、今お子さんが食べているものの形状について確認させてください。どのくらいの硬さのものを食べていますか。離乳食完了期なので、大人と同じくらいの硬さのものでしょうか。そうだとすれば、たとえばおにぎりやサツマイモ、とうもろこしなど、自分で掴んだ上で「かじりとる」ことが必要なものを渡してみてはどうでしょうか。大人が決めたサイズのものを口に入れるのではなく、さらに、ひと口では入らないものを手渡したら、どのように食べるでしょう。この「かじりとる」という行為を上手に達成するためには、自分の口のサイズを体感的に学んでいることが必要です。たくさんかじりとりすぎたら苦しいですし、少なくては物足りませんから、ちょうどいい量になるように自分で口を上手に使わなければなりませんね。このように、ちょうどいい量を前歯4歯でかじり取ることができるようになることは、口の周りを汚さないで済むということにもつながります。ぜひ試してみてください。(はじめは、たくさん口に入ってしまって苦しくないか、確認しならが実施してくださいね。)

口周りのかぶれは小児科での相談も

最後に、お口のかぶれについても、考えてみましょう。かぶれる原因にはいろいろありますが、ひとつ、アレルギーがある可能性もあります。食品に反応して、皮膚が炎症を起こしているかもしれないので、あまり繰り返すようなら一度小児科で相談してみるのも良いかもしれません。アレルギーではなく単純なかぶれだとしても、食事の前に塗るワセリンなどを医師が検討してくれるかもしれません。

手先の器用さについて悩む親御さんはたくさんいらっしゃいます。大切なのは、何ができるか、何ができないか、ということではなく、いまどんな遊びで手をよく使っているか、を観察することです。「好きこそものの上手なれ」で、子どもは楽しいことに夢中になって遊ぶ中で手の器用さを身につけていきます。「楽しいこと」は子によってそれぞれ違いますから、一番身近で生活している親御さんが「楽しそうにしていること」を発見するのが器用さを発達させる近道です。

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