新生児の防災用品|理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.23

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

いざというときのために、妊娠中から準備しておきたい

得原さんこんにちは。現在妊娠9ヶ月です。
防災月間なのでスーパーなどに行くとさまざまな防災グッズが販売されているのが目に入ります。出産後にもし災害に遭ったときのために、事前にできるだけ準備をしておきたいと思っています。いざというとき、おむつの備蓄などもどのくらいしておいたらいいのか気になります。赤ちゃん、とくに新生児のいる家庭に必要な防災グッズについて教えてください。

こんにちは。ご質問ありがとうございます。もうすぐご出産なのですね。楽しみですね。今から災害があった場合のことを考えておられること、素晴らしいです。日本は災害大国なので、備えあれば憂いなしでできる限りの準備をしておきたいですね。

災害にあった時のために必要な情報の整理

まず第一に、災害前に情報の整理をしておきましょう。自宅からの避難場所や、避難する際に手助けしてくれそうな人の連絡先を整理しておくとともに、ご自身と赤ちゃんの健康管理のチェックリストも用意します。災害においては、新生児を抱えたお母さんは「自分で全てをこなす」ことを目指すのではなく、「頼れる場所と人にできるだけ頼る」ことを考えることが大切です。誰かに助けてもらうときに、どこに行ったらいいのか、そこにいる人に伝えるべき自分達の健康状態にはどのようなものがあるか、そういった情報の整理をしておきます。
これについては、内閣府が出している「あかちゃんとママを守る防災ノート」が役に立つかもしれません。上記のような情報を自分の状況と照らし合わせて書き出すためのノートです。ぜひプリントアウトして、家族で相談しながらノートを作成してみてください。

ー『あかちゃんとママを守る防災ノート』内閣府防災情報https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou4.pdf

また、実は避難場所というのは地域の自治組織で運営されることになっている場合もあります。マンションにお住まいならばマンションの管理組合、一軒家でしたら町内会などで、「そのエリアに乳児がいる」ことを把握してもらうことも大切です。出生届を出せばそのまま乳児用の備品が自治体に配備されるわけではありませんから、それぞれお住まいの地域や自治体、マンションの管理組合などに、乳児向けの備品などが揃っているか確認してもいいかもしれませんね。

授乳のためにもお母さんの水・栄養確保を

次に、あかちゃんの生命を繋ぐための栄養について考えてみましょう。これについては、実はお母さんの健康状態を維持することが大切です。母乳を生産し提供するのはお母さんですから、まずは自分自身の飲み物や食べ物を確保することを考えましょう。特に飲料水に関しては、母乳を提供するお母さんは1日2リットルから3リットルの飲水が必要になりますから、ローリングストックなどを活用して十分な量を用意しておきましょう。またもし、体質で母乳が出づらかったり、お母さんに服薬が必要な場合などには、保存可能な液体ミルクを準備しておきましょう。哺乳瓶を清潔に消毒することが難しい環境では、使い捨ての液体ミルクが役に立つこともあるでしょう。
また、災害時には、生活状況も変わることから、母乳や授乳に関するトラブルが起こることも考えられます。これについては、授乳に関する支援をおこなっているラ・レーチェ・リーグ日本というNPO法人が、災害時の授乳に関する情報を提供してくれています。参考にしてください。

ー『災害時の授乳』ラ・レーチェ・リーグ日本のホームページ
https://llljapan.org/hisai_support/

コップ授乳・簡易オムツ・トートバッグ避難

最後に、いくつか実際的な道具と使い方の紹介をしたいと思います。

まずは、消毒ができない環境でミルクを与える方法として、紙コップによる授乳方法を紹介します。乳児には、新生児の頃から、吸啜反射という原始反射が備わっているので、唇に対する刺激で吸う動きを出すことができます。それを利用して、紙コップで授乳をすることもできます。コツは、流し込むのではなく、ミルクを唇に触れさせることで赤ちゃん自身に吸ってもらうこと。百聞は一見にしかず、で、動画で方法を確認してみてください。

ー『液体ミルク、イザという時の知識 紙コップで飲むコツも』朝日新聞デジタル

次に、おむつの数が足りなくなってしまった場合の簡易オムツの作り方です。布と買い物用のビニール袋があれば作ることができます。布については晒しのような綿でできた大きいサイズのものや、タオルでも大丈夫です。昔は布おむつだったことを考えれば、方法の一つとして頭に入れておいておいてもいいと思います。

ー『緊急時に身近にあるもので代用!簡易おむつ&ナプキン』トモニテ

最後に、首の据わらない新生児の避難に大きなトートバッグを使う方法の紹介です。抱っこ紐やおんぶでは、お母さんが転んでしまったとき、上から物が落ちてきた時などに起こる事故への不安もあります。また、トートバッグならば、赤ちゃんが眠る簡易のベッドにもなります。もし今から赤ちゃんと移動する際のバッグを購入する予定でしたら、大きくしっかりと自立する形のバッグを用意することで、災害時の避難バッグとしても兼用できると思います。動画では専用のトートバッグも紹介されています。

ー『目からウロコ! いざというとき避難に使えるママバッグ』トモニテ

災害への備えは、大人だけの備えを考えるだけでもなかなか大変なもの。赤ちゃんが生まれる前に、ぜひ家族とよく相談して、上記のような備えについて考えてみてくださいね。そしてまずは、お母さん自身の健康を維持できるだけの十分な備蓄品の用意をしてください。そのことがあかちゃんを守ることにも繋がります。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。