赤ちゃんの冬じたく|理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツvol.15

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。MotherRingサポーターでもある運動発達の専門家、理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載ですMotherRingJOURNAL読者のみなさんから寄せられた「子どもの発達」や「育児」についてのお悩み相談に、詳しく丁寧にお答えします。

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目次
・これから冬本番!冬の衣服は?環境は?
・赤ちゃんは暑がり!冬の衣服は「大人より1枚少なく」が目安
・ベビーキャリアでのお出かけ時は汗対策を
・手足が冷たい時は保温しすぎに注意

 

これから冬本番!冬の衣服は?環境は?

得原さん、こんにちは!4ヶ月の女の子の母です。もうすぐ初めての冬を迎えるにあたって、気をつけておいたほうがいいことを教えてください。気になっているのは主に2点です。
赤ちゃんに何を着せたらいいのか迷っています。特に外出時は、赤ちゃんにとって寒いのか暑いのか分からず・・・。実家の母には「薄着すぎる」と言われ、近所のママには「薄着で大丈夫よ!」と言われ、正直、基準が分かりません。どんな選び方をするといいのか教えてください。
②室内環境についても教えてください。エアコンの適正温度や、夜寝る時の寝具についても、よい選び方を教えていただければ嬉しいです。
(埼玉県:Yさん)

あかちゃんは暑がり!冬の衣服は「大人より1枚少なく」が目安

こんにちは!ご相談いただきありがとうございます。
だんだん寒くなってきて、冬の到来を感じますね。夏生まれの赤ちゃん、はじめての冬で不安なこともありますよね。冬場、特に心配なのは、寒さで体温が奪われて体力が低下したり、それをきっかけに風邪などの感染症にかかることではないでしょうか。実家のお母様が「赤ちゃんをあたたかく保ちたい」とおっしゃるのも、きっとそういう心配からきた言葉なのだと思います。
結論からお話ししますと、赤ちゃんにそれほど厚着をさせる必要はありません。ではどのくらいの服装が適切か、というと、赤ちゃんの額が汗でしっとりしない程度、を目安にするといいでしょう。これは、眠っているときも、お出かけしているときも、同じです。赤ちゃんは暑ければ汗をかいて、額の産毛がしっとり濡れたような様子になります。同時に、頬が赤くなったりしていることもあるかもしれません。もしそのような様子が見られたら、暑すぎるのだな、と考えてください。お出かけするときには、大人の服の枚数よりも一枚少ないくらいが目安です。夜、布団をかけて眠るときには、大人よりも一段階薄い布団で十分です。エアコンについては、マンションなど機密性の高い部屋で眠る場合は、必要ないことも多いです。長袖長ズボンのスウェット一枚で過ごせるような室内でしたら、必要ないと思って大丈夫です。冬は赤ちゃんの肌が乾燥しやすいので、エアコンによる室温の上昇よりも、加湿器を使ってお部屋の湿度を少しあげてあげるほうが良いでしょう。加湿器によって湿度が上がると、体感温度も少し上がります。

ベビーキャリアでのおでかけ時は汗対策を

次に、汗をかいてしまった場合の対処法についてお伝えします。お出かけでも、眠るときでも、冬場に汗をかいて服が濡れてしまうと服が冷たくなってしまい、かえって体温を奪うことにつながりますから注意が必要です。もしも額に汗をかいていたら、肌着を取り替えてあげてくださいね。

特に注意したいのはベビーキャリアでおでかけするときです。ベビーキャリアに入っていると、お母さんと密着しているので汗をかきやすいんです。頻繁に様子を見て、汗をかいていないか確認しましょう。お母さん自身が汗をかくような状況では、赤ちゃんはもっと暑がっている、と思ってくださいね。どうしても密着することで汗をかいてしまう、というときには、赤ちゃんとお母さんのあいだに薄いタオルを一枚挟んで、適宜交換すると良いですよ。そして、汗をかいたなあ、と思ったら、着替えだけでなく水分補給も忘れずに。

手足が冷たい時は保温しすぎに注意

薄着をおすすめすると、赤ちゃんの掌や足先が冷たくなっていることを心配される方もいらっしゃいますが、これは、身体の熱の調整をすることで起こる現象です。掌や足の裏には、身体を冷ましたいときには血管を拡張させて熱を放散し、身体の温度を保ちたいときには血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぐ役割があります。ですから、環境に合わせて体温調節を行うためにも、手や足の先は外気に触れていていいのです(もちろん、雪国での生活や氷点下の日など、極端に寒いときには足はカバーしてあげてくださいね)。冷たいなあ、と思って保温しすぎると、暑くなったときに体温を逃す場所が減ってしまうので、気をつけましょう。

では反対に、赤ちゃんの体温が下がってしまっている時は、どこを観察すればわかるでしょうか。寒そうだな、と思ったら、まずは唇の色を見てあげてください。赤ちゃんの唇は、普段はバラ色でとっても明るい色ですが、唇が薄紫色になっていたら、寒い証拠です。身体の表面から体温を逃さないように、血管を収縮させて赤い色が外から見えなくなっている、ということです。寒いかもしれないな、と思う環境にあるときには、顔色を見てあげてくださいね。

ご実家のお母様の世代の人たちとの意見の相違は、マンションで生活する人が増えたことや、住宅の断熱性能が上がっていることなど、昔に比べて赤ちゃんに厚着をさせなくて済むようになったことで生まれた環境の差によるものも大きいです。この30年で、日本の生活環境はずいぶん変わりましたし、さらに言えば温暖化で真冬でも氷の張る日が少なくなってきています。お母様のアドバイスも赤ちゃんへの愛情あってのことですから、ありがたく拝聴して、でも今はお部屋の温度が高いのよ、とお話ししてみてくださいね。

冬場の気温対策のPoint
・赤ちゃんは基本暑がり!「大人より一枚薄い衣服」「大人より一段薄い布団」
・額の産毛が汗で湿っていたら、暑すぎるサイン
・唇の色が薄紫色になっていたら、寒すぎるサイン
・汗をかくと冷えやすくなるのでこまめにお着替えを。
・ベビーキャリア使用時は要注意。お母さんとの間に薄いタオルを一枚挟ませても。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。