子どもの睡眠と生活習慣(下)|運動発達の専門家、理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツvol.5

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

Vol.4は、大切なのは分かっているけれどなかなかリズムをつくりにくい「子どもの睡眠」について。(下)では、赤ちゃん期を過ぎても大切な「子どもの睡眠」についてお届けします。

日本の子どもの睡眠時間は短い

赤ちゃんを育てているご家庭には少し先の話になりますが、子ども時代全体の睡眠についても、お話ししておこうと思います。
大人の安定した毎日に睡眠が必要不可欠である以上に、子どもには睡眠が大切です。眠っている間に、彼らの脳も身体も成長するからです。けれども、日本の子どもの睡眠時間は世界の中でとても短いことがわかっています。

N H S(National Health Services)というイギリス政府が運営する国民保険サービスでは、子どもの年齢ごとの必要睡眠時間をホームページで紹介しています。それによると、日本での小学校1年生にあたる7歳の子どもで10時間半、そこから徐々に減っていって、中学校1年生にあたる13歳で9時間15分の睡眠時間が必要であるとされています。高校1年生である16歳でも9時間の睡眠が推奨されています。9時間の睡眠は、朝6時に起床する場合、夜9時に眠ることを意味します。日本国内の調査によると、思春期の子どもの平均睡眠時間は7時間程度なのだそうです。アメリカで8時間程度、ヨーロッパでは、8時間半から9時間ということなので、日本の子どもの睡眠時間の短さが際立ちます。

しかし、前回もお伝えしたように、睡眠は心身を育てる一番の薬。安定した睡眠の獲得は、夜間に多く分泌される成長ホルモンの働きを助けますし、睡眠時間の確保は子どもの精神的な安定と直結していることが科学的に証明されています。

小学生になるまでの睡眠習慣が、それ以降に影響しているのは言うまでもありません。また、大人でも睡眠外来に通う人が年々増えているといいます。小さな頃から、健康的な睡眠習慣を、是非とも身につけたいものですね。

最後に、大人の皆さんにも有効な睡眠のコツをご紹介します。前述のNHSで、青少年向けに推奨されているものです.

1.ベッドのある部屋に携帯や画像を見ることのできる道具(スマートフォンやタブレット)を持ち込まない。
就寝前30分は画面を見ない。
2.10代では1日60分以上の身体活動(早歩きやランニングのような持続的な運動を含む)を行う。
3.カフェインの摂取を控える。就寝前4時間は一切カフェインを摂らないようにする(お茶・コーラなどを含む)。
4.就寝前に満腹になるような、あるいは空腹になるような食事の取り方をしない。
5.ベッドに入るタイミングはできるだけ毎日同じ時間になるように心がけ、入浴や翌日の準備など就寝前の行動をルーチン化する。
6.ベッドのある部屋は暗く、適度に涼しく、静かであるように整える。厚いカーテンなどで早朝の光を遮る工夫も考える。
7.家族の会話の時間を持ち、心配事を話せる環境を整える。心配事や翌日の予定などについて書き出す作業も効果的なことがある。
8.週末にリズムを崩すような夜更かしをしたり、長い睡眠を取ることで、翌週のリズムを崩すことを避ける。

家族は生活習慣を共にするもの。睡眠も同じで、わたしたちの祖先が洞窟の中で暮らしていた頃から、家族は身を寄せ合って一緒に眠り、一緒に起床していたことでしょう。まずは大人の睡眠習慣を見直してみるのも、子どもの睡眠を改善させるいいきっかけになるかもしれません。

<参考資料>
神山潤『日本の乳幼児の睡眠状況』〜国際比較調査の結果から〜、小児保健研究、2009
岡田(有竹)清夏『乳幼児の睡眠と発達』、心理学評論、2017
厚生労働省『未就学児の睡眠指針』、2018
NHS “How much sleep do children need?”
https://www.nhs.uk/live-well/sleep-and-tiredness/how-much-sleep-do-kids-need/

◎infomation


MotherRingサポーターとは
助産師・ドゥーラ・保育士・ベビーシッター・治療家・リラクゼーション施術者・運動指導者といった、産前産後の家庭へのケアサービスのプロフェッショナルを、MotherRingサポーターと呼んでいます。
様々なケアを提供されている方にMotherRingサポーターとしてご登録いただき、広報活動をお手伝いすることで、産前産後のご家庭が必要なケアを受けられる社会を目指しています。

MotherRingサポーターページへの掲載
MotherRingサポーターのみなさまのサービス内容や受付条件などを、MotherRingサポーターページに掲載いただくことが可能です。

motherringサポーターページの内容・ご利用方法はこちら(PDF)

「Webサイトがほしいけど、自分でつくるのは大変……」
「日々のサポートで手いっぱいで、広報活動まで手が回らない……」
といった方のお手伝いをします。
また、産前産後のご家庭にとっても、様々なMotherRingサポーターのみなさまの情報をまとめて見ることができるため、比較検討しやすくなっています。

ご登録までの流れ
①フォームよりお申し込み
フォームはこちら

②MotherRing事務局より、申込書等の必要書類をメールにて送付します。
必要事項を記載し、お申し込みください。


③オンライン面談を実施します。
詳細なサポート内容はもちろん、サポートへの思いなど、お聞かせください。


④登録、MotherRingサポーターページにあなたの情報が掲載されます。
サポート内容をまとめた文章や画像などの掲載情報をご提出いただき、MotherRing事務局であなたの専用Webページを作成し、掲載いたします。

MotherRingは、助産師・ドゥーラ・保育士・ベビーシッター・治療家・リラクゼーション施術者・運動指導者はもちろん、様々な産前産後の家庭へのケアを提供されているみなさまのお役に立ちたいと考えています。上記以外の職種の方も、ぜひ一度お問い合わせください。

MotherRingサポーター登録フォームはこちら

ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。