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ママに寄り添う「産後ドゥーラ」の現在とこれからvol.1 コロナ禍で増えた需要。頼れる人の存在がココロとカラダを救う

2021.07.02

「産後ドゥーラ」というお仕事をご存じでしょうか。このページを訪れてくださる読者の皆さまは既にご存じの方が多いかもしれません。まだまだ日本では歴史は浅いながら、子育てをしながら働き続ける女性が増えるこれからの社会に、さらなる需要が見込まれる期待の仕事です。

そこで、今回は先輩ドゥーラとして働く、有福香織さんとひらつかけいこさんに、コロナ禍の2020年、また今年に入っての変化など、働き方や生きがいを含め、さまざまなお話しを伺います。有福さんは、一般社団法人ドゥーラ協会の「産後ドゥーラ」養成講座の第一期生。ひらつかさんは2016年から「産後ドゥーラ」としての活動を始めて現在に至ります。インタビュアーはマザーリングジャーナル編集長の界外亜由美が務めます。お互いがお互いをある程度知っているこの3名。興味深いお話を引き出せたらと思います。

子育て中のママをサポート、生き生きと輝いてほしい

界外:そもそも日本における「産後ドゥーラ」とはどんな仕事なのか、簡単に説明させていただきます。
新米ママの産前産後の家事や育児全般をサポートする仕事で、ママの代わりにお料理を作ったり、赤ちゃんの沐浴などをします。欧米では「ドゥーラ」は職業として定着しており、日本では「産後ドゥーラ」という呼び名で広まりました。語源はギリシャ語から来ていると言われます。

有福さん:ドゥーラ協会のホームページに「おっぱい以外の子育ては何でも手伝ってもらおう」というフレーズがあるのですが、おっぱい以外何でも! まさにそれだ! と。正確には『直授乳以外』なんですけどね。搾乳した母乳を赤ちゃんにあげたりするので(笑) そして何より産後ママのお気持ちに寄り添えるところがすごい! とやっている自分も感じます。

界外:ママの気持ちに寄り添える、とはもう少し具体的に言うと?

有福さん:第一子の出産のときは、何が大変なのかもわからないまま産後の生活に突入する方も多いと思います。ママの不安や困っていることに相談に乗ったうえで、安心して生活できるようにサポートをします。「産後ドゥーラ」は赤ちゃんの世話をするのがメインではなく、まずはママが第一です。家事も育児もほとんどのことは可能な限り手伝えるので、ママから「この人に頼れば何とかなると思ったら、力が抜けてラクになった」と言っていただくこともあります。

ひらつかさん:お伺いするご家庭の状況に応じて、必要とされるニーズに臨機応変に対応しようと、最初のご相談には時間をかけるようにしています。産後で気持ちも体力も大変なママに寄り添いたい! そのご家庭の暮らしがうまく運んでいく手助けをしたい! そう思って働いているので、寄り添いというモットーは、私にとって何をすべきかの指針になっています。今は世の中がコロナ禍で、以前より行き来が頻繁にできにくくなった中、祖父母の手を借りることができない方も増えましたし、もともとご実家のサポートが受けられない方もいらっしゃる中、実家に里帰りしてお母さんに手伝ってもらっているようなサポートが、「産後ドゥーラ」ならできるかもしれません。

有福さん:私自身が産後大変な思いをしたので、「産後ドゥーラ」のサポートがあったらどんなにかよかったのに、と今でも思います。

コロナがあってもなくても、出産や育児は続いていく

界外:お二人は今どんな働き方をしていますか?またコロナで何か変化はありましたか?

有福さん:いま、週6日働いています。午前と午後に一軒ずつお宅に伺う日が多く、1日一軒だけの日が週に2日あります。コロナ禍で、仕事の需要はむしろ増えたのではないでしょうか。休んでいたのは2020年の最初の緊急事態宣言のひと月くらいでした。

界外:週休1日、お忙しいですね。

有福さん:「産後ドゥーラ」という呼び名ですが、二人目のお子さんの出産の場合、上のお子さんのお世話がありますし、産前からサポートが始まる場合もあります。産後の大変な一定期間が過ぎて、「産後ドゥーラ」の助けがなくても子育てが可能になるわけですが、その後も継続を希望されるお宅も多いです。それもあって今は新規のお仕事をお受けできない状態でして…。なので週休1日にしようとしたわけではなく、自然とそうなった感じです。ただ、1日1軒の日が週に2日あるので、今のところ大丈夫です。

界外:伺ったお宅ではどんな仕事をしていますか?

有福さん:私が現在依頼頂くのは、お料理作りがメインのお宅が多いです。一軒につき2時間、または3時間という決まった時間内に、バランスの良いおかずを作るように全力をつくしています。一品でも多く作りたいなと頑張っていますので、伺っている間は、頭も身体もフル回転です!

 

界外:その間ママとはどうしていますか?

有福さん:伺ったお宅のママの状況にもよりますが、私は料理をしながら、お母さんは赤ちゃんをみながら、ドラマやご近所のお店、インスタの話題など、そんなおしゃべりの合間に今の子育ての状況やお悩みもゆるやかにお聞きしています。

界外:「産後ドゥーラ」としてのお付き合いは長いママですか?

有福さん:いいえ、必ずしも長くなくても、割とすぐに距離感が縮まります。思うに「産後ドゥーラ」というのは友達でもない、親族でもない、第3者的な存在だからか、話しやすいのかもしれません。私は決められた時間内に一品でも多くおかずを作りたいと一生懸命お料理していて、ママはママで授乳しながら。面と向かって真剣にお話するわけではないのですが、だからこそリラックスできてお話を引き出せるのかもしれません。

界外:なるほど。ちなみに「ドゥーラ」という立場から、ママに安心してもらおうと、意識してお話ししているのですか?

有福さん:もちろんリラックスしてほしい気持ちはありますが、これに関してはどちらかといえば素、でしょうか(笑)。 私も自分や自分の家族の面白いお話とかしてしまうし、何よりママも産後のボロボロの姿をこちらに見せて頂いている状況だし、ご家庭の中に入って行って、ご家族の下着を畳んだりすることもあるわけなので、自分も相手に対して正直でありたいと思います。

ひらつかさん:素!のまま。目に浮かびます。有福さんらしい(笑)。産後は気軽に行きたい場所に外出もできないし、コロナ禍で神経も使うし、お母さんたちは今まで以上に話す相手がいない。ストレスも相当たまっている、と。旦那さんはどうかと言えば、すぐに勝手に話に結論を出しがちですし(笑)。コロナ禍でますますそういう話し相手が必要とされていると感じます。コロナがあってもなくても出産は行われ、育児は続いていくので、これからますます需要は伸びる予感がします。

界外:産後は気軽な話し相手がいない、話しかける相手は赤ちゃん…、孤独感を深めるママは多いですよね。このコロナ禍でますます加速した現状があるわけですね。ひらつかさんは、ママと話すときに心がけていることはありますか?

ひらつかさん:私も、人に対して自然体で接するほうだと思いますが、「産後ドゥーラ」としては何気なく言った言葉が、よかったかどうかを後で考えてしまうこともあります。私の意見を伝えるのは今じゃないのかな? とか。だから、まずはママのお話や気持ちを受け止めるようにして、いいとか悪いとか、その時の気持ちでジャッジをしないようになるべく心がけています。

「産後ドゥーラ」の仕事ぶりは意外に体育会系⁈

界外:ひらつかさんの場合はどんな働き方ですか?

ひらつかさん:朝の6時からというご家庭があります。

界外:ずいぶん早い時間ですね!

ひらつかさん:はい。朝の6時にお宅に伺って、3人分の子供のお弁当とママとパパ2人分のお弁当作りが主な仕事です。忙しい朝の送り出しをお手伝いした後、お料理や家事を始めます。長時間のため、朝6時のときは午後にもう1軒で終わりです。
だいだいは、9時から11時、2軒目が13時から16時、最後3軒めは18時から20時です。朝6時からのお宅は、以前は別の時間帯でしたが、いちばん下のお子さんが保育園に入園され、時間帯が変更になりました。

界外:それで朝の6時なんですね。もともとお伺いしていたご家庭の暮らしも当然変化していく…。そうなると、産前産後の時期、幼児の時期、さらに、今回のように学校に上がってから、とサポートの内容も、時間帯も変化するわけですね。これからの時代、働き続ける女性はますます増えていくでしょうし、家事育児の負担やストレスも同時に大きな問題です。

有福さん:産後だけでなく、その後も何かあればまたよく知っている同じ人に頼めるというのは心強いのかなと思います。赤ちゃんの時期だけが大変なわけではないですから。

ひらつかさん:色々な能力をもっている女性が、家事と育児のために疲弊して、仕事や、やりたいことをあきらめてほしくないです。「産後ドゥーラ」のお手つだいで何とかなるのなら、やりたいことをして悔いの残らない人生を送ってほしい、と。

界外:ひらつかさんは1日に3軒もお伺いするのですね! お宅からお宅への移動だけでも大変では? 個人宅となると駅から少し離れたお宅もあるでしょうし。食事をする時間などはありますか?

ひらつかさん:すき間時間はありますが、ひと休みしながらおやつ的なものをちょこちょこっと食べる程度です。

界外:仕事ではバランスを考えた食事を作るのに、自分はおざなりになっていませんか?

ひらつかさん:私の場合、しっかりおなか一杯食べてしまうと、伺ったお宅で、何を作っていいのかわからなくなるので…。その分仕事が終わった後には、お疲れ様の意味も込めて、ゆっくり食事を頂いています。

界外:ハードですね。「産後ドゥーラ」はもう少しマイペースで働いているイメージを勝手に抱いていました。

有福さん:皆さんが皆さんそういうわけではありません。ひらつかさんも最初からいきなりではなく、徐々に増えて今に至るとお聞きしています。なにより、ママとご家族のお役に立ちたいという意気込みが感じられます。今では私のほうが相談に乗ってもらうこともあるくらい! 確かにハードではありますが、私自身も、この仕事をするからには来てもらってよかったと思っていただきたい! お金を頂くからには、誠意をもってお返ししなければ! と常々思っていて、時間内にあと一品! と頑張っておかずを作っている自分がいます。そういう意味では「産後ドゥーラ」は意外に体育会系かもしれませんね(笑)。

界外:ひらつかさんは、昼間2軒お伺いして、夜もとなるときつくないですか?

ひらつかさん:はい。ただ私の場合、友達と飲んでいた時間が仕事に変わった感じで、もともとその時間も稼働していたと言えなくもないか、と。

界外:週休何日ですか?

ひらつかさん:2019年とコロナ禍になってからの2020年はほとんど休みがありませんでした。 ただ、今年にはいってから、たまたま「産後ドゥーラ」の手助けを必要としなくなったご家庭もあり、これを機に別の方にバトンタッチさせていただいています。現場だけではない作業や勉強にも時間を使いたいと思っています。

界外:さて、コロナ禍があってもなくても出産や育児は続く、だから忙しいというお2人ですが、何がきっかけで「産後ドゥーラ」になろうと思ったのか、また、なってからの気持ちの変化、仕事でのスランプや失敗談について次回はお聞きしていきたいと思います。
(シリーズインタビュー「産後ドゥーラの現在とこれから」第2回は7月7日に掲載予定)

 


有福香織(ありふくかおり)さん
1975年生まれ。広島県出身。大学卒業後、結婚。アパレル会社での仕事に携わったのち、2度の出産を経る。どちらの産後も心身ともにボロボロだった自分こそ「産後ドゥーラ」が欲しかった! と。その気持ちを胸に2012年「産後ドゥーラ」第一期生として、仕事を開始。

ひらつかけいこさん
1976年杉並区生まれ。特許庁に勤務していた時に25歳で1人目を出産。ほぼ年子で2人目を出産する。産後の生活の大変さを知らずに無理をした経験、シングルマザーの経験から、仕事をしているママ、目標に向かって頑張るママの力になりたいと「産後ドゥーラ」になる。2児の母。

インタビュアー 界外亜由美(かいげあゆみ)
産前産後の女性とサポーターをつなぐ『MotherRing』主宰。やさしさが循環する社会づくりを目指して活動している。「言葉」で伝える制作会社『mugichocolate』代表取締役。

ライター 咲奈(さきな)
出版社で雑誌・書籍の編集を経て、いろいろなもの、こととつながりたいとの思いからライターを志す。ヨガをはじめとしたボディワークが日課。

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