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JOURNAL

「子育てはおもしろい」。誰もがそう思える社会を目指して、環境をつくり続けたい

2021.06.25

母親がひとりで子育てを担うのではなく、地域、社会で子育てをサポートする社会になるよう活動している棒田明子さん。祖父母との世代ギャップを解消するために立ち上げたNPO法人孫育て・ニッポンの活動をはじめ、産後の家庭が安心して子育てができる環境づくりを進めています。今回、まず海外の孫育て事情のことをお聞きしました。そこから、どんな思いで活動を広げているのかといった話までご紹介します。

「自立」を前提にした海外の孫育て事情

高梨:海外の孫育て事情について教えていただけますか?
棒田さん(以下敬称略): 中国は、日本以上に孫の面倒を祖父母たちがみるようですが、欧米では18歳になると自立するのが当たり前なので、産後も祖父母にはあまり頼らず、パパとママが制度を利用しながら子育てをすることが多いようです。欧米は産後の入院日数は短いのですが、退院した翌日、その家庭の状況に合わせて助産師が自宅に訪問してくれ、「母乳がちゃんと出ているか」、「子どもの体重が増えているか」といった不安を取り除いてくれます。

高梨:産後はなかなか外に出られないので、助産師さんが定期的に訪問してくれて、その場で悩みが解消されると、気持ちに余裕が生まれそうです。

韓国は里帰りでなく、「養生院」で出産後のケアを受ける文化があります。ドイツには、親が子育てができない場合は、祖父母が親のかわりに「育孫休暇」を取得できる制度があります。
日本の里帰り出産は、昔、嫁いだ娘がなかなか実家に帰ることができなかったので、「出産のときくらいは里帰りできるように」とできた文化です。現代は、女性が実家に帰ることを制限する風習はほとんど残っていないので、男性産休、産後のサポート制度が整えば、里帰り出産する夫婦も減るのではないかと思います。

「子育てはおもしろいよ」。そのことを次世代に伝えていきたい

高梨:棒田さんは、育児サイトの情報発信から始まって、「孫育て」の活動、また地域のコミュニティを育てるなど産前産後の女性をサポートする仕組みを作り続けています。いつもどんな思いで活動をされているのでしょうか。

「妊娠、出産、産後、子育て」の情報を集約してお伝えする「ここみて港北」。

棒田:「子育てが楽しい」と思えない人が多い、今の日本の現状に課題を感じています。子育ての大変な部分だけがクローズアップされているように思うのです。
子どもってこんなにおもしろいのに、なぜなんでしょう。もったいなく思います。

高梨:棒田さん自身は、子育てがおもしろかったという実感はありますか?

棒田:もちろん、大変なことや苦しい思い出は山のようにあります。でも、子どもはそれ以上におもしろいところがいっぱいありますね。「次はどんな行動をするんだろう?」とか、「今、何を考えているのかな」と想像をするんですが、子どもはその上をいきますね。育児書も仕事柄たくさん読みましたが、目の前の子どもをじっと見て、おもしろがっているほうがいい親子関係だった気がします。

高梨:産前産後の領域で活動し始めたきっかけはなにかありますか?

棒田:あまりにも知らないことが多いまま妊娠出産を経験したからでしょうか。お産の方法、女性の身体の不思議、母乳のすごさ、また、妊娠出産には適齢期があったり、産後うつというのも、自分が出産してはじめて知ったことでした。私は知らなかったから、自分で選択することができなかったこともありますが、これからの人たちには、知って、自分で選択してほしいと思っています。

高梨:子どものおもしろさ、子育ての楽しさが伝わっていく社会を想像するとワクワクします。

行政や企業、病院、家庭とつながってつくる、みんなで子育てを楽しめる環境

棒田:今は子どもがいる生活を描けない人や、不安が大きく子どもを持つことを躊躇している人も多いので、「子どもっておもしろいよ」「子育てって楽しいよ」って伝えていきたいですね。そして、子育ては一人では絶対に無理なので、まわりの人の力も生かし、関わってもらいながら、一緒に子育てをする楽しさを知ってもらえたらと思いながら行動しています。肉親以外にも、子どもの誕生や成長を祝福してくれる人がたくさんいる地域、社会になるといいなと思います。

祖父母の力を借りる場合は「孫育て」、地域の人たちなら「他孫(たまご)」。育休中や子育てが一段落しているお母さんたちに協力してもらうこともできますよね。祖父母だけでなく、それぞれの環境や資源を見つめ、協力してくれる人たちをコーディネートしていくことが大切だと思っています。

私の活動は決して大きな活動ではありませんが、企業、行政、病院、家庭と、4つの領域と関わりがあることが強みだと思っています。そこから、適した人たちをつなぎあわせています。
高梨:その仕組みがうまく機能していけば、ほかの地域でも応用できるモデルになりますね。

棒田:そうですね。地域ごとにローカライズできるモデルになればいいなと思っています。
子育てっておもしろいし、おもしろがったもの勝ちだと思います。

3回にわたって、棒田さんの「孫育て」活動や、地域で子どもを育てる仕組みづくりについてお伝えしました。祖父母とほどよい距離を保ちながら、良いところを受け入れ合っていく。そんな心地よい信頼関係が「孫育て」から広がっているのかもしれません。また地域の人を頼りながら子育てをより楽しめる人が増えると、社会にも自然と温かな循環が生まれていきそうです。

 

プロフィール:

棒田明子
NPO法人孫育て・ニッポン理事長。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。(社)産前産後ケア推進協会監事。妊娠、出産、産後、子育てに関連した情報を発信する情報サイト「ここみて港北」発起人。産前産後ヘルパー。
育児雑誌の編集者、育児サイトの編集長などを経て、2011年にNPO法人孫育て・ニッポンを設立。祖父母と子育て世帯に向けて、世代間ギャップを解消するために大切にしたいことなどを伝える。孫育てを起点に、シニア世代が地域の子どもたちを育てる「他孫(たまご)」や、子育て世帯の子育てを楽しくするためのコミュニティづくりも積極的に広げている。孫1人。。

NPO法人孫育て・ニッポン https://www.magosodate-nippon.org/
「ここみて港北」https://www.kokomite-kohoku.jp/
ぼうだあきこオフィシャルサイト https://aru-bouda.jimdosite.com/

インタビュアー
高梨真紀
ライター。業界紙記者、海外ガイドブック編集者、美容誌編集者を経てフリーランスに。子育て中の女性や働く女性を中心に取材を重ねる。現在は食、散歩、社会的な活動など幅広く活動。ライフワークとして、女性と子どもなどをテーマにした取材も続ける。2人の娘の母。

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