「米国のコロナICU看護師と一緒に知ろう&話そう&考えよう」オンライン勉強会が開催されました。

「人手不足や医療者差別など、苦しんでいるナースも多いのでは」という思いから企画されました。

2020年4月、アメリカでコロナICUの最前線で看護師として働く岩間恵子さん(米国ニューヨーク市マウントサイナイ・モーニングサイド病院 循環器ICU看護師、ペース大学看護学部 助教)は、友人の福澤利江子さん(筑波大学 医学医療系 助教)に当時の現場の様子をメールで詳しく伝えてくれました。

その時点で、NY州でのコロナ患者さんの死者は5000人以上、毎日死亡数が激増し、まだ上昇のスピードが衰えていない。そんな中で岩間さんや同僚の医療者がどのように危機を乗り越えていたかを鮮明に伝えてくれたそうです。

その後、岩間さんの情報によると、米国では第1波の教訓を生かし、現在では、臨床現場も教育現場も以前よりずっと上手な対応ができているそうです。日本では、医療現場の人手不足だけでなく、医療者差別などに人知れず苦しんでいるナースが多いのではないでしょうか。また、今の状況が続けば、看護学生の皆さんも、看護師になりたいと思う気持ちが削がれてしまう可能性もあるでしょう。

海外の情報をそのまま日本に生かせるわけではないかもしれませんが、関心をもってみんなで考える機会になればという想いのもと、筑波大学の国際看護学研究室(竹熊カツマタ麻子教授)とMotherRingがコラボして、岩間さんから直接お話を伺う参加型オンライン勉強会を開催しました。

YouTube URL

コロナ禍とナース:米国のコロナICU看護師と一緒に知ろう&話そう&考えう

コロナ禍での看護技術教育 バーチャル臨床実習の活用

看護師が社会を変える時 岩間恵子氏202101

開催データ

開催日時:2021年2月12日(金)10:00~11:00@Zoom
参加者:当日参加者・約50名 後日視聴希望を含めた申込・約130名
9割以上が看護師(臨床で働くナースが大半、看護教員が3割弱)。
講演:岩間恵子氏
米国ニューヨーク市マウントサイナイ・モーニングサイド病院 循環器ICU看護師、ペース大学看護学部 助教
米国アデルファイ大学看護学部博士課程修了。現在は、週1日は臨床のコロナICUで勤務を続けつつ、看護大学で学部教育を担当。専門は看護教育。

ペース大学は昨年10月、「コロナに最も上手に対応している大学」の全米4位にランキングされました。
ペース大学URL

最近の岩間さんのエッセイ/看護・介護・医療・福祉関係者のための情報サイト「Nursing-plaza.com」
・ニューヨーク在住看護師が直面した新型コロナウイルス第一波 凄絶な日々から得た学びとは
・社会が激変する今こそ、看護の現場を変えるチャンス ニューヨーク在住看護師と考えるwithコロナ時代の看護

評価アンケートの結果

回答者:41名/臨床ナースと看護教員が半数ずつ(2021年3月3日現在)

今回の勉強会の満足度は「大変満足」と「少し満足」を合わせると95%で、大半が「大変満足」でした。その理由として、海外の状況について知ることができたこと、コロナへの対応方法が役立つ内容だったことの他に、日米の差異だけでなく共通する部分も発見できた、看護師という職業の誇りや社会的地位について考えるきっかけになったという声が多くありました。

追記:下記は「コロナ禍とナース」のテーマに関連した声です。仕事に関することは口外しないよう規制されている職場もあると聞きますが、ナースも一人ひとりいろんな思いがあります。寄せられたメッセージを匿名でこちらに紹介します。

【患者や家族へのケアについて感じていること】
・コロナ禍のためコロナ患者に焦点が当てられていることが多いです。しかし、コロナ患者に関わらず、一般の入院患者さんが危篤な状態の場合に家族は思うように面会することすらできていない状況が続いてます。この状況は、医療職や患者さんだけではなく家族の方々にもとても辛い思いをさせていると思いました。

・コロナ禍で面会禁止の中、公的病院と特別養護老人ホームの二カ所で、関わっていた患者さんが亡くなりました。面会禁止ではありましたが、公的病院では、配偶者が傍にいて手を握ることが許され(患者さんは30代)、特養ではビデオで声掛け、最期は個室にて見送りと、最大限の配慮を聞きました。特別なことだったとは思いましたが、有難かったです。

・私は臨床の現場で看護する看護師です。コロナに感染した患者さんを看る機会はありませんが、手術などで入院する患者さんや、終末期の患者さんの看護をしています。コロナの感染が広がる中、面会制限が厳しくなっています。その中で、患者さんや家族のケアをどのように行っていくか考えていきたいと思います。

・コロナ陽性患者は治療中は家族とも面会できず、また看取りの場面においては、家族の見守りもなく臨終に至る。当院では、オンライン面会を導入しているが、電話による声だけの会話より、モニターを通してではあるが対面して会話をすることのメリットを強く感じている。せん妄の患者が家族の顔を見た瞬間、普通に何事もなかったように会話をしていることや、ターミナル期にある患者と家族と対面して会話できている様子を見て、医療者が満足感を得ることにもつながっている。オンライン面会の仕組みは、面会禁止で会えない患者と家族を何とかつなぐことはできないかという思いから検討され、実装に至ったことであり、このコロナ禍だからこそ構築されたことである。コロナ禍で不要不急の外出を控え、窮屈な日常を過ごすこと、また経済的に不安な状況下を体験することで今までを振り返り恵まれていた状況を認識し、様々なことを考える機会となったのではないかと思う。そして、良き未来を想像し、明日への一歩がそこに繋がることに願いを込めて進まなくてはいけないと思っている。

【看護師の労働環境、社会的地位や役割について感じていること】
・コロナ禍で1年目の新人看護師として働く中で、新人研修がなくなったり、病棟の看護師や医師との親睦を深める歓迎会等の場もなく、またプライベートとにおいても家族以外との会食は禁止などの制限もあり、家と病棟の往復の日々で狭い世界に閉じ込められてるような気持ちになり、心身ともに辛いことも多くありました。友人達の楽しそうなしているSNSを見るたびになぜ私たちばかり我慢しなければならないのかという思いで悶々とすることもあり、それでも患者さんや同僚に迷惑をかけたくないという思いもあり自粛を続けている状態です。医療従事者のみなさんありがとうという言葉ももはや定型文にしか感じられないです。そんななか励みになるのは、家族の支えや同業の友人との会話でした。励まし合いあうことで明日もなんとか頑張ろうという気持ちになることができています。そのため、今回このような勉強会を通して、それぞれの現場で目の前の患者さんに向き合っていらっしゃる方々のお話を聞けたことは私自身にとってとても有意義なものとなりました。そして現場の声を聞くことで自分自身の行動のフィードバックにつながり考え方の変容にもつながると実感しました。今後も自分自身にできることを考え、向き合っていきたいと思います。

・所属施設の活動制限がとても厳しく、遵守していたものの、24時間人権を奪われているような感覚でした。制限が厳しくない人達が本当にうらやましかったです。医療職者に限らず我慢の連続の日々でしたが、前向きに取り組まれている多くの方がいらっしゃることに改めて刺激を受け、楽しさを見出して頑張ろうと思えました。状況が好転していくことを願っています。

・今回の騒動で感じたのは、看護職の専門性は一般社会で未だ十分に浸透していないということです。本邦では、病院や教育機関が今必死に対応していることが認知されていない、更にはこれに与える看護の影響が軽視されている現状を本当に悲しく思います。ただ、この現状に悲観をするだけではなく、社会全体が看護師を専門職として更に認められるように一人ひとりが真摯に務めてアウトプットしていかないなと感じています。自分一人で何が出来るということもありますが、セミナーでも紹介された「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」の気概に感銘を受けました。働いている看護師、それを育てる教育者全体でもう少し自分たちの看護に誇りと責任を持って職務に励んでいきたいと思います。

・様々な職業があり、コロナ禍による困難も様々ではありますが、一人一人が何をするべきか、今一度自分自身に問うことが重要なのではないでしょうか。医療者の役割だけでなく、子供から大人まで、出来ることから、ではなく、やらなくてはいけないことを当たり前に行える社会になることが重要。日本の人は多くの人がマスクを着用し、手洗いや手指消毒を行っています。これは以前に比べるとすごく大きな行動の変化だと思います。何をどのように行動すべきか、ナースの現状を含め情報を正しく発信し、看護師はリーダーシップをとることで社会における意識と行動を更に変えていける力を持っていると思います。

・今回のことで、人間の様があからさまになりました。同じ職場で温度差があり、患者担当している看護師がバイ菌扱いされるような、社会から受けることもあります。それに耐えきれずストレス障害をおこすスタッフもいます。 先生のこの講義内容をスタッフ全員にお伝えしたいです。

・看護職の急な人事異動(1週間前後に知らされた)が行われ、働く環境の土台の不安定さに恐怖を抱きました。立場の弱い現場スタッフに大きな負担がのしかかった一年だったと感じています。

・地方の病院に勤務しています。田舎なので(?)地域の皆様から、コロナに関して偏見や差別的な意見があります。なんとか意識を変えて行きたいです。

【看護教員として感じていること】
・コロナ禍では、個人の価値観や環境によって善悪の判断が異なる中、自分の看護師として、看護教員としての信念は何かを自問自答する一年間だった気がします。その過程で、岩間先生のお話をおうかがいする機会をいただき、看護職として自分自身が考える使命を再確認できました。葛藤を伴うプロセスではありますが、自分自身が大切にしたい看護教育とは何かを考えるきっかけをいただいたと思っています。このような機会をいただいたことに心から感謝しています。

・看護基礎教育にいて、オンライン教育に尽力し苦労もしてきたのですが、コロナの患者さんのケア自体はまだ経験していません。岩間先生の自信あふれるご講演を伺う中で感動と尊敬の念を抱くのですが、自分を振り返ると、今後の看護教育上、様々な経験があるか否かで教育内容にも差が出るような気がして、やや不安を持っています。

・コロナ禍で、教育を受けた学生の今後の現場で不利が出ない、新人教育を組み立てていただきたいこと。特に実習教育について、教育現場でも様々に工夫はしていますが教育方法の評価を一施設だけではなく、看護系大学などが協働して行う必要があるのではないかと思っています。

・看護教育を行う上で、臨地実習で何を教えるべきなのか。ペーパーペイシェントで教えられること、教えられないことが、日本で明らかになっていないと思いました。また、「評価」という面で、「何が正しいのか、正しくないのか」という変な物差しで、看護を評価しようとしていることそのものが「おかしい」と思った1年でした。学生に学内実習であっても教えるべきことって何でしょう。本日もあったように、態度(手洗い・感染予防も含めて)、コミュニケーション、患者とその場面(アート)の部分のアンテナを磨くことなのではないか。もっと複数の教育者が情報を持ち寄り、何を教育すべきなのかを今、データとして残すべきだと思いました。また私も、教育しながら、臨床で働くことが有効だと思っております。自己評価、なりたい自分になるということ、ボーダーを日本は作ってやってそれを超えることになれている学生がいる。アメリカでは自分のボーダーを自分で作り、それを支援できる環境こそが大事なのではないかと思いました。

岩間恵子さんからのメッセージ

今回のZoom 勉強会に参加させていただき、参加者の一人として様々な場所で様々な思いを抱いている参加者のみなさんとお互いにその思いをシェアをしながら学ばせていただき、ありがとうございました。

国が違っても地域が違っても、看護に携わるものとして同じ思いでいることを改めて実感しました。コロナ禍で多くの規制があり、生活までが変わってしまいましたが、今までなかったこのような、国や地域を超えてのネットワーク作り、自由に話せる場、情報交換や学びの場ができたことはとても貴重なことだと思いました。また、コロナと共に生きていくこれからの社会の中において、看護の進展がますます進むのではないかと感じました。

コロナ禍のアメリカの看護界では今までよりも、患者さんのケアを行いながら、社会に出て社会を変えていく看護師の働きがますます強調されています。今、看護師が社会を変える時代になりました。

私が臨床看護師として一番辛かったことのひとつに、患者さんを家族が看取ることができずに患者さんがひとりぼっちで亡くなってしまったことです。今でもそのことが私を苦しめていますが、多くの看護師が私と同じ気持ちでいること、また、家族を同じように苦しめていることから、病院での面会の規制の緩和が行われました。そして、昨年末から、私の属する病院ではコロナ陽性患者さんへの面会も認められ、面会者がガウンや手袋、N95マスク、フェイスシールドなどを付けて患者さんの隔離室で面会することが許されています。

限られた時間内ですが一人づつ、一日に二名までの面会者が別々な時間に患者さんを訪れ、患者さんが家族と静かな時間を過ごしています。また、看取りの場面では、数人の家族がベッドサイドで看取ることも許されるようになりました。私たち医療従事者が患者さんとその家族を擁護する医療従事者としての責任と同時に私たちの辛かった体験から、政府のガイドラインを守りながら面会の規制緩和を推進した背景がありました。

私は今まで「しょうがない」と思って、ひとりでじっとこらえていたことが多くありましたが、看護師が社会を変える姿を見て、みんなが声をあげていくことで「しょうがない」状態を良い状態に変えていく実際のプロセスを学びました。また、みんなの小さな心の中のともしびが社会さえを変えること、また、そのともしびを消さないように次の世代にバトンタッチしていくことも。今回の勉強会は多くの方の声がたくさんつまった大切なスペースだったと思っています。

国や地域を超えてのネットワーク作り、自由に話せる場、情報交換や学びの場を今後も作りながら、私たちの向かう看護の将来を一緒に考えていかれますように、これからもよろしくお願いいたします。

開催後記(MotherRing 界外)

岩間さんのお話の中で、米国の看護教育で教えられる The American Association of Colleges of Nursing(AACN)が打ち出した「5つの看護師のプロとしての価値」のひとつとして、「Social Justice-社会正義(社会の弱者を守ること、弱者を守るために社会を変えていくこと)について伺ったことが印象に残っています。看護師が先頭に立ってデモを行う画像も拝見し、胸にくるものがありました。文化の異なる海外の情報が、そのまま日本にマッチするわけではないかもしれませんが、たくさんの発見のある勉強会だったと思います。参加いただいたみなさまに心より感謝申し上げます。

また、岩間さんがおっしゃっていらっしゃるように、これを機に、国や地域を超えてのネットワーク作り、自由に話せる場、情報交換や学びの場が新たに生まれていくことに期待をしています。医療従事者でない私たちもなにか協力できることがないか、考え行動し続けたいと思っています。

 

◎infomation


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ライター / MotherRing 編集部