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JOURNAL

産後の体はボロボロ!?知っておきたいカラダの変化と産後1年までの過ごし方

2021.09.17

妊娠と出産という大仕事を終えて、「すっきり!」とはいかない女性の身体。肩こりや腰痛、腱鞘炎などのマイナートラブルも現れやすくなります。「身体のあちこちが痛い」「身体がボロボロ」という産後女性の声も少なくありません。

産後に特に起こりがちな肩こり、腰痛、腱鞘炎について、原因や、症状がラクになるコツを、理学療法士で一般社団法人sodatsu-coの得原 藍さんにお聞きしました。

-目次-
「肩こり」は、お腹まわりを支える筋肉からのSOS
「腰痛」は妊娠中に頑張ってお腹を支えた反動。産後1ヶ月は安静に
「腱鞘炎」は出産後のむくみが原因。手を休ませられる環境をつくって
授乳中はクッションで赤ちゃんの重さを支えて
足を上げることでむくみ=腱鞘炎の解消に
四つん這いになった床拭きで回復しやすい身体づくりに
家事も育児も頼れる相手をつくって

「肩こり」は、お腹まわりを支える筋肉からのSOS

育児生活が始まってじわじわとくるのが「肩こり」。産後女性が悩みがちな産後のトラブルです。

産後の肩こりは、妊娠と出産によってお腹まわりの筋肉が弱ることが大きな原因。理学療法士の得原さんによると、妊娠によって子宮とお腹がどんどん大きくなることで、お腹まわりの皮膚もお腹の下にある筋肉も伸びるのだそう。

「妊娠するとお腹まわりは全体的にゆるんだ状態になります。筋肉も弱っています。でも、身体は正しい姿勢を保とうとして、背中から腰や腕につながっている『広背筋(こうはいきん)』、背中の表面にあって首から肩や背中の上部へつながる『僧帽筋(そうぼうきん)』を頑張って働かせようとするんです。だから、肩まわりが疲れてしまう。これが肩こりの一番大きな原因です」(得原さん)

「腰痛」は妊娠中に頑張ってお腹を支えた反動。産後1ヶ月は安静に

「腰痛の原因も、肩こりと同じ仕組みです」と得原さん。

得原さんによると、妊娠中の女性はお腹が前に出ることでお腹まわりの筋肉が使えなくなるため、背中を反らせることで姿勢を保っているのだそうです。

「でも、出産するといきなりお腹のおもしがなくなって、それまでどうにか姿勢を保っていた筋肉も一気に支えを失います。すると、無理やり元の姿勢に戻そうと、反動で筋肉が働くので、腰痛になるんです。」(得原さん)

「出産後は、まるで他人の身体になってしまったような状態になります」と得原さん。妊娠前とは背骨の位置が変わり、張りがあった筋肉も、大きくゆるんでしまっています。すぐには妊娠前の状態に戻れないくらい、身体は変わっているのです。

さらには初めての育児生活では無理をする場面も多く、腰を痛めてしまう原因をつくってしまうことも。

「産後1ヶ月の『産褥期(さんじょくき)』は休むように言われていますが、身体の伸びきった筋肉が元に戻るために必要な期間でもあるんです。10ヶ月かけて少しずつ大きくなってきたお腹、そのことでじんわりと痛めつけられてきた身体の筋肉たちが自然に元に戻るために、1ヶ月間安静にすることはとても大事です」(得原さん)

産後1ヶ月間は、起き上がる動作も座る動作もできれば避けてほしいとも。

「まわりの人がいろいろな方法で手助けをして、『あなたはおっぱいだけあげていて』という状態にできると、その先、育児生活がラクになります」(得原さん)

「腱鞘炎」は出産後のむくみが原因。手を休ませられる環境をつくって

骨と筋肉をつなぐ「腱」が滑らかに動くように働く「腱鞘(けんしょう)」。この「腱」と「腱鞘」が無理な状態でこすり合うことで起こるのが「腱鞘炎」です。人によっては、赤ちゃんが抱っこできなくなるくらいまで症状が重くなります。最も痛みが出やすい指の付け根や手首はよく使うだけに、何とかしたいですよね。

得原さんによると、「腱鞘炎」の一番大きな原因は「むくみ」。手が水分でむくむと、「腱」の動きが鈍くなります。それを無理して慣れない育児で動かそうとするため「腱鞘炎」が起きるのだそうです。

出産後は増えた水分や血液を排出するけれど、いきなり減らせるわけではないとか。また、血液が増えると血管の外にある細胞にも水分がしみだしている状態で、むくみやすくなるそう。「少なくとも産後1ヶ月は、身体がむくんでいるのはどうしようもないんです」と得原さん。

腱鞘炎を改善させるために大切なのは、「むくみを取る」こと。まずは、「お母さんがひとりだけで長時間赤ちゃんを抱っこしなくてもすむような状態をつくることが大切」だと得原さんは話します。

日常にできる工夫も伺いました。

「量販店などに、子ども用の伸びる手袋がありますよね。あの手袋をして、手をきゅっと圧迫してあげるとラクになります。指先の部分を切れば、指も動かしやすいですよ。産後1~2ヶ月で腱鞘炎になると、その先どんどん大きくなる赤ちゃんの体重を支えられなくなることもあります。早い段階から地道な工夫を続けていくことがとても大事です。できれば産後すぐから試してみてください」

授乳中はクッションで赤ちゃんの重さを支えて

では、産後の悩ましい「肩こり」「腰痛」「腱鞘炎」を改善させるためにできる運動などはあるのでしょうか。得原さんにご紹介いただきました。

「まずは、授乳の時に、壁に椅子をぴったりとくっつけるなどして、よりかかれる状態をつくり、身体の負担を減らしてください。身体がもう一度、筋肉の使い方を思い出すまで、きちんと座骨で座ること。少なくとも産後1ヶ月はこうした姿勢を取ることがとても大切です」


(資料提供 得原藍さん)

こちらの図の姿勢は、お腹まわりのケアにもなる万能な姿勢だとのこと。

「赤ちゃんの重さは、手首で支えようとするのではなく、大きめのクッションや座布団に完全に預けるようにします。お母さんの身体が正しい姿勢を思い出すためにも、こうして赤ちゃんをおっぱいの高さに調整してください。」

道具で工夫をしながら、赤ちゃんの重さを自分だけで支えないように、工夫してみてくださいね。

足を上げることでむくみ=腱鞘炎の解消に

「横になって休める時には、時々、椅子を使って足をあげてください。むくみの解消につながります」(得原さん)


(資料提供:得原 藍さん)

寝ている状態であれば、ストレッチをしても問題はないとのこと。注意したいのは、重力に逆らうような動きをしないこと。特に産後1ヵ月ほどは、育児は授乳とおむつを替えるくらいにして、ごろごろ寝転がっているのが理想です。

「産後1年くらいは、背中を曲げて行うような腹筋は避けてください。腹筋を鍛えたくなったら、身体の様子を見ながらプランクから始めてください」(得原さん)

また、産後5ヶ月頃になると活動的に動き回りたくなるママは多いはず。しかし、産後は連続して歩きすぎると、骨盤底筋に負担をかけてしまうのだそうです。あまり無理をすると尿漏れが進む原因にもなるそうです。お出かけの時など、気がつくと3時間以上歩いていたりもしそうですが、それだと少々「歩きすぎ」です。30分くらい歩いたらどこかに座って休むようにしてください。

「育児休暇も1年くらいで、第一子の妊娠や出産も一度きりの大切な時間ですよね。だから、いろいろ動きたくなる気持ちはよくわかるのですが、出産して約1年後、仕事に復帰してからのことを考えると、産後1年の身体をいたわることはとても大事なんです。だから、できるだけ休んでほしいですね」(得原さん)

四つん這いになった床拭きで回復しやすい身体づくりに

「産褥期」を過ぎたあたりから少しずつ軽いものから再開していく家事も、「できるだけ重いものを持ったり動き回ったりすることは避けて」と得原さんは話します。

得原さんが主催する産前産後の女性のための講座では、産前から四つん這いになって床を拭くことをすすめています。

「背中の筋肉をきちんと維持するために、妊娠前から四つ這いで床拭きをするんです。腰がそらないように。それを産後も続けることで、下半身の3大関節(股関節・ひざ関節・足関節)や足の指を指す下肢があまり衰えないまま、復帰しやすくなります」(得原さん)

家事も育児も頼れる相手をつくって

ここまで、産後の身体に起こっていることと、悩ましい産後の「肩こり」「腰痛」「腱鞘炎」が起こる原因、症状の改善につなげる運動などをご紹介しました。

普段、産後女性たちに接する機会が多い得原さんですが、多くの産後女性たちと関わるなかで、彼女たちが無理をしていると感じることはあるのでしょうか。

「たくさんあります。赤ちゃんが夜起きていて眠れないというだけではなく、早く体重を落としたいからダイエットをしているというママもとても多いです」(得原さん)

ただでさえ寝不足で身体もボロボロになっている産後。特にタンパク質は、不足すると筋力が落ち、身体の回復も遅くなってしまうとのこと。体重に囚われすぎず、必要な栄養をきちんと摂ることが大切なのですね。

また、少なくとも産後1ヶ月の「産褥期」は、ゆったりと身体を休ませることが大事だと得原さん。そのためには、産後ドゥーラのように、産後の育児や家事をサポートしてくれる人をお願いするのもお勧めだそうです。

「『赤ちゃんのいい育ち』とは、赤ちゃんの生活を支えながら見守ることを表します。でも、お母さんが疲れていると、赤ちゃんに『静かにしてほしい』『寝てほしい』『食べてほしい』と、自分の『〜してほしい』という欲求を赤ちゃんに求めてしまうことになります。そうならないためにも、お母さんがラクな気持ちでいることがとても大事です」(得原さん)

体調も良く、家事も代わりにしてくれる人がいて、赤ちゃんと一緒にゴロゴロ寝られる時間がある状態が理想、と得原さん。すぐに休める環境でお母さんの気持ちに余裕が生まれると、赤ちゃんが寝なくても、ゆったりと構えられそうですね。

「昔と違って、今は産後1年くらいで仕事に戻ることが当たり前になっています。みんな忙しいのがわかっているから、何か困ったことがあっても頼みづらくなっていると思うんです。女性には、もしできれば産前から、家族や友人以外にも、産後ドゥーラや産後ヘルパーなど、『お願いします』と頼れる相手をつくってほしいですね」(得原さん)

インタビュー・監修/得原 藍
理学療法士。一般社団法人sodatsu-co共同代表。大学でアメリカンフットボールの学生トレーナー、会社員を経て理学療法士の資格を取得。現在はバイオメカニクス(生体力学)の知識や経験を生かした指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で子育て相談、外あそびなどを行っている。6歳男児の母。
Instagram @sodatsu_co
ライター/たかなしまき

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