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JOURNAL

得意な人も、そうでない人も。妊娠期に運動をした方がいい理由

2021.04.16

ヨガやピラティスなど、妊娠期に取り組めるマタニティフィットネスが人気です。一方で、なぜ運動がよいのか、どんな種類の運動がよいのかはあまり知られていません。もともと運動が苦手な人にとっては特に、「自分にできるかな?」「赤ちゃんへの負担は?」などと不安もあるのではないでしょうか。

マタニティピラティスをはじめとして、女性のためのプログラムをオンラインで提供している竹下浩美さんに、産前産後の運動について、お話を伺いました。

そもそも体力不足な人が多い

八田:妊娠期に取り組めるマタニティエクササイズが人気ですが、そもそも、妊娠期の運動って必要なのでしょうか?

竹下さん(※以下敬称略):出産と、その後に続く子育てには体力が必要です。ところが、その妊娠出産に必要なだけの体力が、もともとない人が多いのです。その背景にあるのが運動不足です。現代の日本人の多くが、学生時代の体育や部活動を最後に、運動から離れてしまっています。圧倒的に体力が不足している人が、今、本当に多いのです。

八田:わたし自身、出産後に急に疲れやすくなったり、体力が落ちたと感じたことがあります。あれは、急に体力が落ちたというわけではなく、元々体力不足だったのが露呈しただけだったんですね…。

竹下:そうなんです。その状態から落とさないように維持すること、できれば少しでもアップさせることが、妊娠中の運動の一番のねらいです。とはいえ、「運動」と聞くと苦手意識のある人が多いんですよね。

八田:わたしはまさにそのタイプです。学校の体育が苦手だったので、運動全般に苦手意識があります。逆に、学生時代は運動部でハードにやっていたけれど大人になって完全にやめてしまう、という人も多いですよね。

竹下:それまでの運動経験によっても、適切な運動強度は変わってきます。自分にあった運動を見つけて、上手に取り入れられるといいですね。それは、運動が苦手な人にも得意な人にも、ぜひやってほしいことです。

妊娠期特有のマイナートラブルは姿勢の変化が原因

八田:妊娠期には腰痛などのマイナートラブルも起きやすくなりますが、どうしてですか?

竹下:自然な状態で立っている人間の背骨を横から見ると、胸のあたりは軽く後ろにカーブし、腰のあたりが軽く前にカーブしたS字型をしています。妊娠すると、腹部の重みを支えるために、腰のカーブが大きくなります。「反り腰」と言われる状態です。この姿勢が行きすぎると、腰痛につながります。また、腰のカーブが大きくなると、身体のバランスをとるために胸のカーブも大きくなります。そうすると、血流が悪くなったり神経が圧迫されたりして、痛みや不快な症状につながりやすくなります。背骨の湾曲自体は、妊娠期の自然な身体の変化で、誰にも起こることです。でも、行きすぎると痛みが出るから、そうならないように筋力でカバーすればいいわけです。

八田:姿勢を保つための筋力をつける、ということですね。

竹下:もうひとつ大切なのが、柔軟性です。というのも、出産時には、それまで前にカーブしていた腰を、今度は後ろにカーブさせる必要があるんです。自然分娩はもちろんですし、麻酔を用いる人も、注射を打つために腰を丸めたような姿勢をとる必要があります。そこで、妊娠中の筋力トレーニングは、部位別にハードに筋肉をつけるようなものではなく、背骨をしなやかに動かすことで体幹を鍛えていくトレーニングが主になります。

家でもできる「座り方」と「足指エクササイズ」

八田:妊娠中の運動については、厚生労働省のサイト「e-ヘルスネット」にも、「運動強度の高いエクササイズについては、専門家の指導の下で安全に行うこと」というガイドラインが示されています。

竹下:そうですね。妊娠の週数や、もともとの運動経験によっても適切な運動内容や運動量が違うので、トレーナーのアドバイスを受けながら行うのがおすすめです。

八田:家でもできることはありますか。

竹下:姿勢については、日常動作を変えることで改善していくことができます。たとえば座り方ひとつでぜんぜん違ってきます。妊娠中によくあるのが、椅子に浅く腰掛けて背もたれにもたれる座り方ですね。それだと腰のあたりに隙間ができてしまい、負担がかかります。椅子に座る時には深く腰掛けて、背もたれにしっかり背中をつけたほうがいいです。もうひとつ簡単に取り入れるとするならば、足指のエクササイズをおすすめします。お腹が大きくなると、足指って見えなくなりますよね。見えなくなると意識が向かなくなり、動かさなくなってしまいます。改善のためには、足指ジャンケンや、タオルを足指でたぐり寄せるエクササイズがおすすめです。足指をしっかり動かすことで、血流がよくなり、末端の冷えも防げますよ。

プロフィール/
竹下浩美 Hiromi Takeshita
FTP認定ピラティス&マタニティピラティスインストラクター。自身の出産後、NPO法人マドレボニータ認定産後セルフケアインストラクターとして、のべ3,000人の産後女性に産後ケアを提供。2021年に独立後、日本母子健康運動協会で産前産後の運動指導について学びを深め、ピラティスを軸とした産前産後エクササイズを行なっている。また、産前産後のみならず様々な不調の改善に寄り添えるよう、乳がんの為のピラティスや、メディカルピラティスの学びを続ける。現在はオンラインを中心にレッスンを行いつつ、出張パーソナルレッスンにも力を注ぐ。

https://linktr.ee/hiromi_takeshi

 

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