「ストロー飲み」の上手な教え方:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.58

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

-目次-
1.ストローでうまく吸えない
2.ストローで飲む時の口の動きは?
3.遊びを通して「水が口に入ったり出たりする」感覚を
4.道具の使い方を教えるには、
親が面白そうにやってみせることが近道

ストローでうまく吸えない

藍さんこんにちは。1歳3ヶ月の子どもがいますが、ストローがじょうずに使えません。1歳になる頃から練習を始めましたが、どうも唇だけで咥えることが難しいようです。コップはまだ自分で持てず、親が支えるとこぼしながらですが少しずつ飲むことはできます。一度コップ飲みをマスターさせたほうがいいのでしょうか。また、ストロー飲みが上手になる方法があれば教えてください。
ストローで飲む時の口の動きは?

こんにちは。ご質問ありがとうございます。1歳3ヶ月、意思がはっきりしてくる頃ですね。ストロー飲みができるようになると、お出かけなどで便利な場面もありますから「使えるようになってほしい」という親御さんの質問、よく伺います。まずは、ストローが使えるということはどういうことなのか、お口の動きから考えていきましょう。

まず、ストローを用意して、親御さんご自身で試してみてください。ストローって、どんなときに上手に吸えて、どんなときに上手く吸うことができない道具でしょう?たとえば、タピオカ用の太いストローで水を飲んでみたときに、かなり強く吸わないと水が上がってこない・・という経験をしたこともあるのではないでしょうか。

ストローで水を吸うことができる条件は、大きくふたつあります。ひとつは、ストローの筒に、ぴったりとやさしくストローが潰れない強さで唇をまとわせることができること。もうひとつは、吸う前にしっかり息を吐くことができる、ということです。どちらも、ストロー内部の空間に残された空気をしっかり吸い取って、ストロー内部を陰圧にするために必要な動作です。ストローと唇の間に空間があると、そこから外部の空気が流れ込んでしまいますから、ストローの中の空気を吸うことができません。また、前述のタピオカのストローの場合は、ストローが太いために普段使う細いストローよりも、多くの空気を吸い込まないとストロー内部が陰圧にならないのですね。

遊びを通して「水が口に入ったり出たりする」感覚を

さて、このふたつの条件は、1歳すぎのお子さんに伝えてもなかなかうまくいかないでしょう。「こうするんだよ」と見せてお口の形を真似してもらっても、実際に空気を吸う際の加減はなかなか難しいものです。では、どんな伝え方をしたら、動作が上手く伝わるでしょうか。

こたえは「【遊び】にする」です。ちょうど季節も夏ですし、ベランダやお庭にベビーバスや、たらい、発泡スチロールの箱などを用意して、5センチ程度のぬるま湯を入れましょう。その中で、お水遊びをするときに、プリンカップや短く切ったストローを用意してあげてください。もしあれば、マヨネーズの空き容器など、柔らかくて、押したら中の水がぴゅっと出るようなものもあるといいですね。それらを使って、遊んでもらいましょう。たとえば、プリンカップになみなみと水を注いで、カップの縁でブブブ・・と空気を吹いて見せてあげてください。水面が揺れて、水が飛び散る様子を、きっとお子さんは興味深く見るでしょう。あるいは、ストローをプリンカップの中に入れて、空気を吹き、ぶくぶく遊びをしてみてください。それもきっと、気にいるはずです。「自分でもやりたい」となったらしめたもの。試しにやってみる中で、自分がどういうふうに空気と水を扱ったら良いか、試行錯誤することでしょう。

正解はありません。こぼしてもいいし、吹き出しても、まちがえてごっくんしてしまっても良いです。大切なのは、「自分の感覚で、水を自由に口に出入りさせること」です。マヨネーズの容器のように、お口をつけて、自分の手で容器を押すことで水が流れ込んでくる道具も、口と手を協調して動かし、対応することに繋がる楽しいおもちゃです。遊びの中で、偶然、ぶくぶくと泡を出すことができたり、逆に、水が流れ込んできてゴホゴホしてしまったり、そういった出来事が一番の近道。お母さんが楽しそうにしていることを何でも真似したいお年頃ですから、ぜひ楽しそうに遊んで見せてあげてください。きっと、練習するよりも楽しく、早く、身につけることができると思いますよ。(余談ですが、赤ちゃんは2歳くらいまでに環境に適応しながら体温調節を学んでいくので、その意味でも、夏の水遊びはおすすめです。)

道具の使い方を教えるには、「面白そうにやってみせる」ことが近道

もし、毎日の水遊びはハードルが高いなあ、ということであれば、ストローの先にビニール手袋を取り付けた遊び道具を作ってみるのはどうでしょうか。むかし、息を吹き込むとストローの先の紙筒がピューッと伸びるおもちゃがあったのをご存知ですか。その、簡易バージョンです。ご自宅のお掃除などで使う使い捨ての手袋を、短めに切ったストローにビニールテープで密着させて、それを吹いたり吸ったりして遊んで見せてあげてください。まずは親御さんが楽しそうにするのが、コツです。自分の息のコントロールで、手袋が膨らんだり縮んだりする様子を、きっと楽しむことができるでしょう。そのあいだに、ストローに唇を密着させる動きも練習することができますし、吸うこと・吹くことの加減も上手になります。

これから先、お子さんが使う道具が増えていきますね。小学校入学前に、箸やえんぴつをはじめとして、はさみやのり、ナイフやフォーク、ノコギリやカナヅチなどの道具にも触れていくことでしょう。そのいずれにも共通する「教えかた」のコツがあります。まずは、大人が楽しんで使っているところを見せて、やりたい気持ちにさせること。それから、「やりたい!」となった際に、ひとつだけ、教示を与えることです。なぜなら、はじめにあまりにもたくさんの方法をインプットされると、どれも実行に至らないから。ひとつできたら、つぎのコツ、ひとつ気をつけることができるようになったら、つぎの注意点・・というふうに、大人の側が優先注意事項を考えるようにしてみてください。これは、「お母さん/お父さんが教えてくれたら、楽しいしうまくいく」とお子さんが信じることができるようになるコツでもあります。その信頼が生まれると、この先長い時間、困ったときに親にしっかり相談してくれるようにもなっていきます。ぜひ、頭の片隅におぼえておいてくださいね。

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