現場で生かしてほしいから、実践的なカリキュラムを重視する|産前産後の自分をいたわるケアの大切さ、伝えたい!Vol.2

出産前の女性をケアする「マタニティセラピスト」とベビーマッサージの講師「ベビーマッサージセラピスト」。産前産後に関わる二つのセラピストを育成する「日本マタニティセラピスト協会」の代表、横田真由美さんのインタビューです。第2回は、協会立ち上げの経緯と、どういう思いでセラピストを育成しているかについて伺います。(Vol.1のお話は はこちらからお読みいただけます)

ママも赤ちゃんもハッピーなスタートを!

八田: 2009年から、産院で妊産婦さんに向けてアロマトリートメントなどのケアを行ってきた横田さんですが、そのノウハウを広めるため日本マタニティセラピスト協会を立ち上げたのはいつ頃でしょうか?
横田さん: 2015年くらいには既に模索していたのですが、講座内容の構築に時間がかかり、実際に協会を立ち上げ、養成講座を開講したのは2018年の○月からです。

八田: マタニティセラピストとしてのキャリアは前回のお話で伺いましたが、ベビーマッサージと横田さんのつながりを教えてください。

横田さん: マタニティセラピストの活動をメインにやりながら、私自身がベビーマッサージセラピストの養成講座を受講後、資格を取得しました。ママにベビーマッサージのやり方を教える講師のお仕事もさせていただいて、その良さは十分理解していました。協会として、妊娠がわかってから産後一年ほど、赤ちゃんが歩き始めるくらいまでをマタニティ期ととらえ、その期間を網羅できるセラピストを育成したいと考え、「マタニティセラピスト」だけでなく、「ベビーマッサージセラピスト」も加えようと思ったのです。そこでベビーマッサージの専門家に入ってもらい、一緒に協会を立ち上げました。

八田: 妊産婦さんは、セラピストさんに身体を癒してもらいながら、同時に赤ちゃんへのマッサージのやり方をセラピストさんに教わることができるわけですね。

横田さん: はい。ベビーマッサージはある意味子育ての第一歩ともいえると思います。言葉を交わさなくても、気持ちを届けられます。産後始まる赤ちゃんとの暮らしをスムースにスタートすることができた!という初めてママさんのお声が多いんです。

時間をかけて丁寧に育成、実践的で現場で使える内容には定評あり

八田: これまでにマタニティセラピストとベビーマッサージセラピストの養成講座を受けた方は何人くらいですか?

横田さん: 2021年現在で、卒業者数は15名、そのうち起業をした方が約半数です。

八田: 養成期間はどのくらいですか?

横田: 「マタニティケアセラピスト」のコースが最低でも6か月、「ベビーマッサージセラピストのコース」が、3か月かかります。皆さん、働きながらだったり、子育てをしながらなので、コース修了までに一年以上かかる場合ももちろんあります。時間をかけて丁寧に育成しているので、大人数の受け入れがなかなか難しいのです。

八田: 今や、短期間で資格が取得できるようなところもありますものね。そういう中でこちらを選んで受講をされる方はどういう方が多いのでしょうか?

横田さん: 開講当初は、アロマセラピストさんでサロンのメニューの幅を増やしたい方、保育士さんなどが多かったのですが、やっていくうちに、これから開業を予定している助産師さんや産院で働く看護師さんといった方が増えてきました。

八田: 養成で学んだことがすぐに生かせる現場を持っている方、ということですか?

横田さん: はい。意図していたわけではなく、やっていくうちに、そうなっていった感じです。アロマテラピーの知識は、勉強次第で深めていけますし、マッサージに関しても技術的にはさほど難しくはありません。ですが、妊婦さんの身体をケアするということは、医療に近い知識も当然求められます。ご自分のお子さんの出産経験しかない方と、出産の現場で数多くの妊産婦さんを見ている方とでは、理解度の深さにどうしても差が出てしまいます。実際にすぐに生かせる現場をもっている方は習得したことが身に付きやすいですし、何か疑問が出た際も、協会にアドバイスを求めてもらえば、どんどんスキルアップが可能です。この差、つまり場数を踏む必要性が大きいことが、育成をはじめてみて、より一層明らかになったという感じがします。

八田: 場数を踏める環境、それは確かに限られてしまいますね。受講者の方の割合が医療現場の方が増えてきたことに対してはどうお考えですか?

横田さん: 講座のカリキュラムの内容はもともと実践的なもので、現場の方がすぐに使っていただけます。また、卒業生と連絡を密に取り、疑問への素早い回答やアフターフォローもしっかり行う分、その結果を現場からフィードバックしてもらい、より実践的な内容にブラッシュアップされています。内容がしっかりしたものだからこそ、ぜひ、世の中に広めたいですし、認知度が高まらないとせっかくの良さがわかってもらえない、そういう意味でも、結果的にではありますが、医療や出産の現場の方が増えつつあるのは自然な流れと捉えています。

※次回、最終回は協会の少し先の未来と、出産前後の女性が抱える問題について、お聞きしたいと思います。(Vol3は11月5日公開予定)
構成/八田 吏 ライター/咲奈

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ライター / 咲 奈

出版社で雑誌・書籍の編集を経て、いろいろなもの、コトとつながり、いくつになってもわくわくしていたいとの思いからライターを志す。ヨガなどのボディワークが日課。