みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。
-目次-
1.他の赤ちゃんに触ってしまう
2.生後7ヶ月は、人やモノへの興味が育つ時期
3.心配なとき、親はどう見守ればいい?
4.子どもは触れ合いの中で育っていく
5.まとめ
遊んでいるときに、他の赤ちゃんに触ってしまう
藍さんこんにちは。
7ヶ月の赤ちゃんを育てています。日中は近くの児童館に連れていくことが多いのですが、他の子の顔を触ったり、髪を引っ張ったりすることが増えてきました。危ない場面もあってヒヤヒヤしますし、もし怪我をさせてしまったらと思うと、行くのが少し億劫に……。その場で注意はしているのですが、まだあまりわかっていない様子で、どうしたらいいのか悩んでいます。
生後7ヶ月は、人やモノへの興味が育つ時期
こんにちは。ご質問ありがとうございます。7か月のお子さんを育てていらっしゃるのですね。ちょうど自分で移動する力も獲得して、いろんなものが気になる時期ですね。家の中でも、ドアの向こう側が気になったり、抽斗を開けようとチャレンジしてみたり、隅々まで探索したいという欲求が溢れている頃ではないでしょうか。この頃に、ものを指差したり、指差しした先の事物をお母さんと共有したり、手の届かない遠くのものにも興味が出てきます。世界がぐんと広がる時期なんですね。移動した先でのトライ・アンド・エラーをできるだけ見守ってあげたいものです。
「触る」「触られる」は人との関係を学ぶ大切な経験
さてお子さんが他のお子さんに触ってしまうとのこと、怪我をさせてしまわないか心配、というご質問でした。子どもの心身の発達の側面から考えると、子どもどうしの接触は、触る側にとっても触られる側にとっても、とても大切な「人どうしの関係性」をつくる基本段階です。乳児期から幼児期にかけて、よく触れ合って、お互いに楽しい思いや少し不快な思いもして、徐々に人との距離感を自分で決められるようになっていきます。テレビ番組などで、イヌや猿、ライオンなどの群れを作る動物の子どもたちが、取っ組み合いとも言えるようなじゃれ合い方をするのをご覧になったことがあるでしょうか。この時期は、身体全体で「加減」を知っていく大事な時期なんですね。もちろん、一朝一夕に発達が進むというわけではありませんが、小さな経験の積み重ねが、確かな経験値になっていくことは間違いありません。こんなふうに触ったら相手が泣いてしまった、というような出来事に対しても、たとえ7か月のお子さんでも「まずかったかな」「やっちゃったな」と思うものです。そのような事態になった場合には、おそらくちらりと親御さんの方に目を向けたりするかもしれません。冒頭に述べた、指差しの共有と同じように、安心できる相手に共感を求めているのですね(痛いことしちゃったね、良くなかったね、と声をかけてあげましょう)。事件が起こすこういったこころのざわめきも、大事な発達の糧になります。
心配なとき、親はどう見守ればいい?
あかちゃんどうしの接触は、発達にとっては大切なこと。なのに心がざわざわするのはなぜでしょうか。それは、周囲の親御さんが何をどう捉えているかわからない、自分がOKと思っていても相手がOKとは限らない、そんな不安からきていませんか。その不安も、もっともです。でも冷静に考えてみると、はいはいのあかちゃんどうしが、取り返しのつかない怪我を相手に負わせるようなことは、そうそう起きることではありません。あるとすれば、高いところに登っていて落下する、などでしょうか。その場合は、高くて狭いところにふたり同時に登ることを避けるべきであって、接触の問題ではないと捉えるべきです。もしも、親以外の人間に一切触れずに育つあかちゃんが居たら、その子のほうがずっと心配です。なぜなら、人に対してどのようなことをしたら良いのか/いけないのかの経験値が上がらないからです。
では、親として心配になる気持ちをどうしたらよいか。まずは、ひろばや児童館など、その場にいるスタッフに相談してみてください。たくさんのあかちゃんを見ているスタッフたちが、どのようにその場を運営しているのか、お互いの視点を確認してみましょう。「他の子に興味があって、よく触ってしまうんです。」と話したときに、それならば・・と、よく目配りしてくれる方がその場を任されていたら、子どもどうしの接触の際に、きっとほかの親御さんとの間も取り持ってくれると思います。それでも心配な気持ちがあるときには、お子さんの近くでよく観察して、大きく手が出そうなときに、お子さんの手と相手のあいだに、手を差し込むようにして止めてみてはどうでしょうか。はじめから距離を取るのではなく、あ、この様子のときはあぶないな、と感じたときに止めるようにします。ご質問の中には、「注意もしているのですが」とありましたね。お子さんが手を出そうとしているときに、静かにあいだに割って入って、行動とともに「痛いからだめよ」と伝えましょう。声だけではまだわかりませんし、大きな声や慌てた声はかえって伝わりません。できるだけ、冷静に。そしてもしも「そっと触ろうとしていたら」、お相手の親御さんと話をしてふれあいを大事にする確認ができればいいですね。「お互いさま、子どもたちのふれあいも大事にしたいですね」という場が子どもたちの成長を支えることを、おぼえておきたいところです。
子どもは触れ合いの中で育っていく
数年前の感染症騒ぎで、子どもたちが触れ合う姿がなかなか見られなくなり、その頃からあかちゃんどうしの接触への過敏さも増してきたように思います。しかし、子どもどうしが触れ合わない社会は正常な社会なのでしょうか。大切なのは、そもそも人は触れ合うことで育つ、という視点です。親子だけでなく、お子さんがこれから育っていく過程で、自分以外の誰かと触れ合い、身体で感じていく人間関係が、まだまだ言葉が未熟な幼児期には必要不可欠です。小さな子どもたちの接触にはドキドキさせられることがありますが、周囲の大人で協力しながら、その発達過程を見守ることができるとよいですね。
まとめ
・7ヶ月頃は世界が大きく広がる時期。 他の子どもに触ろうとするのも、人や物への興味が育っている自然な姿です。
・赤ちゃんどうしのふれあいは、人との関わり方や力加減を学ぶ大切な経験。 楽しいことも、少し嫌な思いをすることも成長の糧になります。
・過度に怖がる必要はありません。 はいはい期の赤ちゃんどうしの接触だけで重大な事故につながることは多くありません。
・心配なときは、近くで見守りながら必要な場面だけ介入を。 「痛いからだめだよ」と行動とセットで落ち着いて伝えることが大切です。
・子どもは人とのふれあいの中で育ちます。 周囲の大人同士が協力しながら、子どもたちの関わりを温かく見守っていけるとよいですね。
-infomation-

MotherRingサポーターとは
助産師・ドゥーラ・保育士・ベビーシッター・治療家・リラクゼーション施術者・運動指導者といった、産前産後の家庭へのケアサービスのプロフェッショナルを、MotherRingサポーターと呼んでいます。
様々なケアを提供されている方にMotherRingサポーターとしてご登録いただき、広報活動をお手伝いすることで、産前産後のご家庭が必要なケアを受けられる社会を目指しています。
MotherRingサポーターページへの掲載
MotherRingサポーターのみなさまのサービス内容や受付条件などを、MotherRingサポーターページに掲載いただくことが可能です。
motherringサポーターページの内容・ご利用方法(PDF)
「Webサイトがほしいけど、自分でつくるのは大変……」
「日々のサポートで手いっぱいで、広報活動まで手が回らない……」
といった方のお手伝いをします。
また、産前産後のご家庭にとっても、様々なMotherRingサポーターのみなさまの情報をまとめて見ることができるため、比較検討しやすくなっています。
ご登録までの流れ
①まずは、オンライン説明会にお申し込みください。
オンライン説明会お申し込みフォーム
②MotherRing事務局より、申込書等の必要書類をメールにて送付します。