MRサポーターに聞く!「私の理想のバースプラン」vol.1

妊娠出産に関する希望や助産師さんにお願いしたいことを書く「バースプラン」を知っていますか?実際に書こうとすると「何を書いたらいいの?」と迷うことも。

そこで、出産前の相談や両親学級、オンラインによる立ち会いといったさまざまな出産サポートを提供しているMotherRingサポーターに、「もしあなたがこれから出産するとしたら、どんなバースプランを書きますか?」と、ご自身の理想のバースプランを聞いてみました。プロとして、また、ひとりの女性としての本音のつまったバースプランをお届けします。

バースプランとは?

バースプランとは、直訳すると「出産計画」のこと。望むお産の形や出産後や入院中の過ごし方など、妊婦さん自身やパートナーの希望を書いたものを指します。産院で専用の記入用紙を渡される場合もありますが、これでなくては、という決まった形式はありません。
「こういうお産がしたい」と思っても、口頭で伝えようとすると、「いつ言えばいいのかな」「どんな風に言えばいいのかな」と迷ったり、遠慮して言えなくなってしまうことも。事前に書いて伝えることで、医師や看護師、助産師など、お産に関わる人たちに共有でき、自分の思いの整理にもなるメリットがあります。
バースプランに書いたことがそのまま希望通りになるとは限りませんが、あらかじめ意思表示をしておくことで、妊婦さんの願いに極力沿った形を探ることができます。

MRサポーター森本早紀さんの「理想のバースプラン」

大阪府豊中市在住のMRサポーター森本早紀さんは、バースプラン作成のサポートから出産立ち会いまで行う出産ドゥーラです。インドネシアへの留学経験をもつ森本さんが出産ドゥーラになったきっかけは、日本で出産するインドネシア人の出産時通訳を行った経験から。コロナ禍の今は、オンラインでの出産立ち会いやチャットでの相談など、遠隔でのサポートも行っています。詳しくは森本さんのMRサポーターページをぜひご覧ください。

森本早紀さんのMRサポーターページ


ご自身の2人のお子さんは助産院で出産したという森本さん

森本さんのバースプランは、「自分の価値観を知る機会」

陣痛中の過ごし方は?
「陣痛中は、夫に甘える時間をたっぷりとりたいです!上の子どもたちにも、できることをたくさんお手伝いしてもらいたいです。夫に、たくさん写真も撮ってもらいたいです。」

分娩時に望む対応は?
「分娩時は動きたい時に動けるフリースタイルにさせてもらいたいです。家族に立ち会ってもらいたい。信頼している助産師さんやドゥーラのサポートを受けて、必要な時に声をかけてもらいたいです。」

「帝王切開になった場合のプランも考えておきます。立ち会いを希望しますが、難しければ、夫と音声だけでもつながっていたいです。現場の看護師さんや助産師さんに、今何をしているのか説明してもらいたいです。赤ちゃんが生まれてすぐに、胸に抱けるのなら抱きたいし、赤ちゃんと頬を触れ合わせたいです」

分娩後の過ごし方は?
「初乳を吸ってもらいたいので※カンガルーケアも含め、生まれてすぐ胸に抱きたいです。子どもたちに、胎盤やへその緒、助産師さんがしていることなど、全部見てもらいたいです。ぜったいお腹が空くので、おにぎりをたくさん用意しておきたい。皆でお話しながら過ごしたいです」

森本さんは、バースプランを書いた後のことについても触れてくださっていました。

「これらを書いて、お産バッグに入れておきます。実際にお産がどうなるかは分からないし、叶えられる内容もきっと少ない。でも、「自分の思いはこれです。」とお伝えしたいです。

バースプランはあくまでプラン。でも、書き出してみることで、自分にとって大切なことは何なのか、自分の価値観を知ることができます。さらに、自分の言葉で産院に伝えられることで、結果として満足のいく大切なお産の時間になります。」(森本さん)

※カンガルーケアとは…出産直後に、赤ちゃんを母親の胸元に抱いて、皮膚と皮膚を接触、スキンシップをしながら保育すること

MRサポーターイエレン映子さんの「理想のバースプラン」

東京都世田谷区在住のMRサポーターイエレン映子さんは、日本とアメリカで5人のお子さんを出産したベテランのお母さんでもあります。自身の経験を出産・育児のサポートに生かしたいとの思いから出産・産後ドゥーラとして開業。英語でのサポートや、上のお子さんへの英語での絵本読み聞かせや遊び歌も得意です。詳しくはイエレンさんのMRサポーターページをぜひご覧ください。

イエレン映子さんのMRサポーターページ

ご自身の体験から、日米の出産事情に詳しいイエレンさん

イエレンさんのバースプランは、「家族とのつながりを重視」

陣痛中の過ごし方は?
「陣痛が始まってから、強く間隔の短い陣痛になるまでは時間がかかります。陣痛の合間には、部屋や廊下を歩き回ったり、階段を登り降りしたり、スクワットの状態で座り込んだりすると、分娩の進みが早くなる可能性が高くなります。わたしだったら、痛み逃しにエクササイズボールを使ったり、好きな香りのキャンドルを焚いたりしたいですね。腰痛の緩和には、カイロや指圧もお願いできれば嬉しいです。」

分娩時に望む対応は?
「問題がなければ医療介入は極力避けてもらって、自分と赤ちゃんのペースで分娩に臨みたいです。自分で赤ちゃんを受け取りたい。可能ならば、※臍帯遅延結しょうを希望します。」

※臍帯遅延結しょうとは…へその緒を切るタイミングを通常より遅らせること

分娩後の過ごし方は?
「赤ちゃんと家族に囲まれて過ごしたいです。パートナーか上の子どもに、臍帯を切ってもらえたら嬉しいですね。また、赤ちゃんに問題がなければ、すぐにカンガルーケアをお願いしたいです。初乳も与えたいです。」

5人のお子さんをもつイエレンさんは、自宅での出産を経験されています。家族で向き合うお産の良さについても触れてくださいました。

「ハイリスクでない健康な妊婦さんならば、自宅でリラックスして出産に臨めるのは理想的だと思います。上のお子さんにとっては、日常生活の延長で新しい弟や妹を迎えられます。また、赤ちゃんがどんな風に生まれてくるかを実際に見ることで、お兄ちゃん、お姉ちゃんになったという自覚も高まり、赤ちゃん返りの可能性も減るのではないでしょうか。」(イエレンさん)

まずは自分の理想を言葉にしてみることで、気持ちにも余裕がもてる

最後に、これからバースプランを立てる人へのメッセージをお二人に伺いました。

「出産は予測のつなかない人生の一大イベントです。第一希望が叶わなかった時のために、第二希望、第三希望まで考えておくと、気持ちに余裕が持てると思います。日本では約5人に1人が帝王切開で出産しています。帝王切開になった時のためのバースプランをたてておくと安心です。バースプランを立てる時には、助産師やドゥーラ、出産経験者の経験も聞いて参考にしてください。また、あらかじめ立てたバースプランにこだわりすぎず、自然の流れに身を任せることも必要です。」(イエレンさん)

「初めての方は、考えるのが難しいこともあるかと思います。そんな方や、ぜひお近くの開業助産師さんや、通っている産院の医師や看護師さん、バースドゥーラに気軽に相談してみてください。お二人目以降の方にもぜひ書いてみて欲しいです。以前のお産で感じたモヤモヤなどあれば、そこから理想のお産を思い描けるかと思います。いちばん大切なのは、あなたの言葉であなたの想いを伝えること。すべては叶わなくても、バースプランからあなたの願いを想像して、対応してもらえるケースもあります。」(森本さん)

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ライター / MotherRing 編集部