梅雨時におすすめの遊び:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.44

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

雨の日の遊ばせ方に悩んでいます

得原さん、こんにちは!3歳の子どもの親です。梅雨どきの子どもとの過ごし方について相談させてください。身体を動かすのが大好きな子なので、普段の土日はほとんど公園で過ごしているのですが、梅雨に入るとなかなかそうもいきません。室内で遊べるような施設は混んでいたり利用料が高価だったりと使いづらく・・・とはいえ、家のなかでテレビ漬けにするのも避けたいところです。夜の寝付きを考えると、できるだけ身体を動かして体力を発散させたい気持ちもあります。活発な子どもでも楽しめる、雨の休日の過ごし方を教えていただけるでしょうか?

雨の日を、楽しみながら家事にチャレンジする機会に

こんにちは。ご質問ありがとうございます。3歳のお子さんとの雨の日の過ごし方、悩ましいですよね。たくさん動けば、しっかり食べることができて寝つきもよくなるけれど、毎日雨続きだとなかなか外にも出られない。わたしも子どもが3歳・4歳のころ悩んだことがありました。
屋内でできる、意外な「楽しい刺激」
今回のご質問を読んで、思い出したことがあります。息子が小学校に上がる前のある日のこと、息子がふと、「雨は好きだよ、上を向けば飲めるから」と言ったんです。ああ、子どもって、雨だからいやだなあとか、晴れているから外に行こうとか、天気に気持ちや行動を左右されることなく遊んでいるんだなあ、と思いました。きっと、お外で遊ぶのが大好きな子どもたちは、雨も、風も、雪や日差しも、それぞれ楽しんでいるのでしょう。そう考えると、雨の日に超えるべきハードルは大人の心の中にあるのかもしれません。今回は、雨の日にどうやって遊んできたか、ということについて、理学療法士としての視点とともに、外遊び好きな子どもの母親としての視点も交えて回答させて下さい。

まず第一に、外で遊びたい子たちにとって、家の中は狭く刺激が薄い環境です。テレビや動画を見ることに夢中になるのは、光や音の刺激があるからで、身体をたくさん動かすことで生まれるダイナミックな身体刺激を求めている子どもたちにとっては、基本的に屋内環境は味気ないものなのですね。

では屋内で、どんなことが「楽しい刺激」になり得るでしょう。ご質問者様のお子さんは3歳とのこと、そろそろ「何でも自分でやりたい・できる!」という気持ちがもりもり盛り上がってきている頃なのではないでしょうか。

実はそういうタイミングは、家事を少しずつおぼえてもらうのに最適なタイミングです。ぞうきんを絞って床を拭いたり、窓を拭いたり、スポンジを用意して洗面台をきれいにしたり、いつもお母さんやお父さんがやっていることの仲間に入れてあげるつもりで、一緒にやらない?と提案してみてください。はじめは乗り気でなくても、大人が浴室にバケツを置いて「さあぞうきんを絞ろう、ギュー!」と」声に出して楽しそうにしていると、きっと様子を見に来るでしょう。そうしたら、チャンスです。お子さんの好きそうな色のスポンジやぞうきんを用意しておいて、これで一緒にやる?と声をかけてみてください。「どれをつかう?」と選ぶ楽しみを加えてあげるのもひとつの手です。「やりたい」という気持ちになったら、あまり上手に絞れていなくても気にせずに、まずは浴室の鏡やベランダの窓など、濡れても気にならないところを拭いてもらいましょう。あとから乾いたぞうきんで吹き上げれば、ぴかぴかですね。そしたら、一緒にきれいになったことを喜びましょう。

大きな面積を拭く作業というのは、じつは結構な全身運動です。そして、子どもにとっては水を使った遊びでもあります。大切なのは、「本当の掃除」だと思わないこと。いきなり「きれいに仕上げる本当の掃除」をするのは無理なので、あくまで楽しく遊びましょう。その中で少しずつ大人の動作を見て、真似をして、できることが増えていきます。「しっかりやらせよう」とすると逆効果なので、ご注意くださいね。

もし、お庭があって土に触れるようならば、雨でぬれた土を少し窓辺に持ってきて、「泥で窓にお絵かき」してから、一緒に窓ふきをしてもいいかもしれません。最後は必ずきれいにして終わる、さっぱりきれいになった窓の気持ちよさを、遊びの締めくくりに体験してもらいたいですね。「消さないで!」となったら、次の雨の日にはきれいにしようね、と声をかけてもよさそうです。雨の日の家仕事が増えて、雨でも飽きずに遊ぶタネになるでしょう。

あえて外に出て、親子で雨を味わってみても

それでもやっぱり外に出たい。そんな気持ちも出てくるかもしれません。家の前やすぐ近くの公園に出られるならば、水着やレインポンチョを着て外に出るのも楽しいと思います。ちょっとだけ外に出てみようか、と声をかけて、しばしお散歩。水たまりができていたり、いつもの道端の草花が濡れていたり、ポンチョにあたる雨の音に耳を澄ましたり、子どもにとっては雨の外出は新しい発見でいっぱいです。大人は傘をさして、後ろからついていくだけで大丈夫。興味津々に進む子どもの視点を楽しみましょう。お庭やマンションの中庭など、ちょっとした空間があれば、ビニール傘をいくつか開いて地面に置くと、小さな子どもが入れる空間もできあがります。小さなビニールハウスの中で、雨の風情を楽しむのもいいですね。

これは余談ですが、わたしが小さな子の子育て真っ最中だった頃は、雨の日に外に出たい子どもに付き合う自分のために、お気に入りの長靴とレインコートと傘を購入しました。雨が降ったら使いたい道具を用意しておくことで、自分もその道具を使いたい気持ちを盛り上げました。だからいまでも、雨の日はなんだか楽しかった思い出が多いです。歩道をツーと流れていく水に、心奪われてしゃがみ込む子どもの背中も思い出します。そんな姿を見ることができるのも幼児のあいだだけ。世界の何もかもが新鮮な時期を、たっぷり楽しんでください。

お家でのお掃除も、雨の中の遊びも、最後はさっぱりぬるめのお風呂やシャワーで終わりにすると、そのあとのご飯とお昼寝もスムーズだと思います。段取りは少し面倒ですが、遊び始める前にお風呂にお湯を張っておくと、汚れた手・濡れた身体もほっとあったまりますね。お母さん・お父さんも是非、一緒にお昼寝してください。

-infomation-


MotherRingサポーターとは
助産師・ドゥーラ・保育士・ベビーシッター・治療家・リラクゼーション施術者・運動指導者といった、産前産後の家庭へのケアサービスのプロフェッショナルを、MotherRingサポーターと呼んでいます。
様々なケアを提供されている方にMotherRingサポーターとしてご登録いただき、広報活動をお手伝いすることで、産前産後のご家庭が必要なケアを受けられる社会を目指しています。

MotherRingサポーターページへの掲載
MotherRingサポーターのみなさまのサービス内容や受付条件などを、MotherRingサポーターページに掲載いただくことが可能です。

motherringサポーターページの内容・ご利用方法(PDF)

「Webサイトがほしいけど、自分でつくるのは大変……」
「日々のサポートで手いっぱいで、広報活動まで手が回らない……」
といった方のお手伝いをします。
また、産前産後のご家庭にとっても、様々なMotherRingサポーターのみなさまの情報をまとめて見ることができるため、比較検討しやすくなっています。

ご登録までの流れ
①まずは、オンライン説明会にお申し込みください。
オンライン説明会お申し込みフォーム

②MotherRing事務局より、申込書等の必要書類をメールにて送付します。

ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。