春本番!子どもの発達を促す意外な遊びとは:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.41

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

-目次-
1.子どもの成長を促す、おすすめの遊び方は?
2.「散歩」で考える力や行動力を育む
3.大人も「見守り力」を育むチャンス

子どもの成長を促す、おすすめの遊び方は?

こんにちは。2歳の子どもの母です。だんだん暖かくなり、お外遊びの楽しい季節になってきました。基本的には子どものペースでしたいようにさせていますが、運動発達を促すような遊びを知って、子どもの反応を見ながら取り入れていきたいと思っています。2、3歳の子どもと親でできる、簡単な遊びを教えていただけるでしょうか。

「散歩」で考える力や行動力を育む

桜が少しずつほころびはじめて、春がやってきた実感が湧いてくる今日このごろ。今回のご質問は歩き始めた子どもの外遊びについて、なにか簡単に取り組めるものはないかしら?とのことですね。あたたかくなると子どもたちの「身体で遊びたい!」の気持ちもふくらみます。大人も一緒に楽しみたいですね。

簡単にできる、ということを念頭に置くと、まずはやっぱりお散歩です。え?お散歩?遊びの話を聞きたいのだけど・・という声が聞こえてくるようですが、家の周囲の近所の散歩は子どもたちにとっては遊びのひとつなんですね。では、どのように歩いたら、経験たっぷりの遊びになるでしょうか。

まずは「行きたい方向を子ども自身が決める」、ここから取り組んでみましょう。玄関を出る前に、今日は◯◯ちゃんの行きたい方に歩いてみようね、と声をかけて、玄関を開ける。一歩出たら、お子さんがどちらの方向に進み出すか観察してみてください。たたたっと駆け出す子もいれば、どちらに行こうかキョロキョロする子もいるでしょう。お父さん、お母さんは、車などが来ないか安全に気をつけて見守ってみましょう。

見守りのポイントは、お子さんが自分から振り向いて目を合わせてくるまで、あまり話しかけずに見守ること。自分の興味にまずは集中してもらいましょう。大人に「聞いてほしいこと・見てほしいこと」があれば、向こうからアイコンタクトを取ってきます。そうしたら「どうしたの?なになに?教えて!」と指差しの先や、表情に目を向けて話をしてください。子どもにとっては、近所の道端も、謎や発見に満ちていますから、ここではあえて大人の言葉でその発見を知識として先取りせずに、応答に徹してみてください。「ほんとだー」「あったねー」「きれいだねえ」「見つけたねえ」など、応答はシンプルで良いのです。それだけで子どもたちは、自分の発見が共有されたことに満足できますし、お父さん・お母さんにもっと話しかけたくなるものです。(もちろん、道路に飛び出しそうになったら、大人のほうから道の端・歩道を歩くことを伝えてあげてくださいね。)

実は、歩く、ということは観察と決断の連続です。周囲を見て、自分の状況を知る。どちらに行くか決めて、人や自転車などやってくるものに目を向ける。そして、自分が歩く道に何があるのか発見をする。「自分で考えて動いてみる」経験の土台も育っていきます。ぜひ、自分の足と目で歩いてみる、ということを気持ちのよい春・草花芽吹く発見の多い春に、実践してみてください。

大人も「見守り力」を育むチャンス

家の周りは車が多くてなかなか安全にお散歩ができない・・・という場合は、公園まで移動して同じように発見歩きをしてもらうこともできます。方法は同じ。自転車や車、ベビーカーや抱っこ紐で移動した先の公園で、お子さんを地面におろしたら、散歩と同じ手順で「任せて」みましょう。そして、気になる場所、興味の惹かれる方向へどうやって一歩を踏み出すのか、観察しましょう。

遊具などが多い公園では少し年上の子どもたちも遊んでいるかもしれません。小さな子どもは、少し年齢が上の子どもをよく見て、その場の様子を伺います。未熟ながらも自分なりに、どうしようか、と考える場面がたくさんあるでしょう。その事自体が、認知の能力を挙げていくことにも繋がります。お父さん・お母さんは、安全確保に徹して、お子さんの後ろ1メートル、手が伸ばせる位置から見守りましょう。そして、「本当に危ないこと」、たとえばブランコが勢いよく動いている場所、大きな子どもたちが滑り降りてくる滑り台の下、大きな段差に登って落下の危険があるときには、手を出して止めてください。

危険でない場面では、行為を子どもたち自身に委ねて、静かに見守りましょう。ちょっと手持ち無沙汰かもしれませんが、発見や決断をする子どもを観察することを楽しめるようになると、この先、保育園や幼稚園、小学校やその先の学校生活でも、子どもが何に興味を持ち、興味を持った先にどんな行動を取って、そこで起きる反応にどう対応していくのか、ゆっくり見守ることができるようになります。そして、子どもも「任せてもらえる」安心感を持って、冒険できるようになるのですね。そう、お散歩ははじめての「冒険」なのです。

これから、道端にも公園の中にも、たくさんの草花が芽吹き、生き物が目覚めて登場してくるようになっていきます。そうしたら、子どもにとってはその小さな変化が一番の遊び。大人も一緒にのんびりと、目的なしに発見を楽しみながら歩けるようになりたいですね。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。