初めての冬、おやこの冬支度:理学療法士が伝える!楽しくすくすく育つコツVol.37

みなさんは、毎日の子育てを楽しんでいますか。喜びを感じるひとときもあれば、ふと「こんな時、どうしたらいいの?」「これって、このやり方でいいの?」と、迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。運動発達の専門家である理学療法士・得原藍さんによる、楽しみながら子どもの育ちをうながす親子の関わり方のコツを教わる連載です。

赤ちゃんの冬じたく、どうしたらいい?

藍さんこんにちは。
5月生まれの男の子の母親です。子どもと一緒の初めての冬を迎えますがショップに行ってもどんな服を用意してあげたらいいのか、また、室内を快適に過ごすために新しく何か用意した方がいいのか、迷ってしまいます。

・衣服について、いまは肌着と長袖のロンパースで過ごしていますが、冬を迎えるにあたり、どんなものが必要になるでしょうか。選ぶ時のポイントを教えてください。アウターについても教えていただけると嬉しいです。

・就寝時のふとんについて、今年は暑いこともあり、いまのところガーゼケットだけで過ごしてしまっています。綿入りの布団や毛布を買ってはありますが、暑いかな?という気もします。今後、増やしていくときの基準などあれば教えてください。

他に冬を迎えるにあたりしておいた方がいいこと、用意しておいた方がいいことがあれば教えてください。よろしくお願いします。

大人の着ている服マイナス1枚を目安に

こんにちは、質問を寄せていただいてありがとうございます。5月生まれの男の子がいらっしゃるとのこと、いまは生後半年くらいですね。本当に、今年は暑い時期が続いたので季節に合わせた装いも難しいですね。衣服と就寝時の環境、そして冬を迎える準備について、お話していこうと思います。

まずは、お子さんの冬の衣服について。乳児は大人よりも体温が高く、同時に暑がりです。目安としては、大人の着ている服装マイナス1枚、ということがよく言われます。大人がセーターと長袖のカットソーを着ているなら、子どもは1枚で良い、ということですね。特に、寝返りを始めて移動が自由になってくると、身体を動かす機会も増えますから、ちょっと涼しいかな、と思うくらいの服装がちょうどよいです。

それでも、枚数だけで判断するのは難しいことがあるかもしれませんね。直接本人が熱いと感じているかどうかを察するには、汗をかいていないかどうか、を確認してあげるのが良いです。たとえば、額の前髪はしっとりしていないか。脇の下や背中はしっとりしていないか。しっとりしているようなら、暑いということです。また、寒い場合には唇の色が紫色になります。そういった身体の直接の変化で調整する、という方法もおぼえておきましょう。
着替えのアドバイスもあります。一旦汗をかくと、その汗が外の冷気で冷めるときに急激に体温を奪ってしまいます。ですから、暑いところから寒いところへ移動するときは要注意です。もし暑いところで汗をかいたら、下着を取り替えてあげましょう。直接肌に触れるものが湿気っていないようにしておく、ということですね。

もうひとつ。ベビーカーはとても寒いです。なぜなら、自分で動くことをしないからです。人間の身体は動くことで熱を産生するので、じっとしているときは身体が冷えやすいのです。来年の冬には歩き出していることでしょうから、その時にはたくさん歩かせてあげてください。運動による体温維持は、子どもたちにとって大切な隊長コントロールの練習です。

布団は「暑すぎないか」に注意して

つぎに、就寝時の布団について。こちらは、主に「暑すぎないか」に気をつけましょう。特にマンション住まいの場合、室内の気温はそれほど温度が変わりません。10度以下になることは稀でしょう。そのような場合は、お子さんは薄手の毛布1枚で十分なことが多いです。それも、寝返りを始めれば蹴飛ばしてしまうことも
あると思います。そうなったら、腹巻きなどで身体の中心部が冷えないようにしてあげましょう。
眠るときは、手足は布団から出ていて大丈夫ですし、寝ている間、手足はひんやり冷たいです。手足から熱を放散することで身体全体の温度を冷ますことで人は眠りにつきますから、ひんやりしていて問題ないのです。寒すぎないか、暑すぎないかを確認するには、起きているときと同様、汗と唇の色をよく見てあげることが大切です。また、寒すぎる、暑すぎるなど不快な環境の場合、赤ちゃんの寝付きが悪かったり、すぐに目覚めてしまうことも目安になると思います。

外気に触れて、体温調節の力を育てる

最後に、冬に向けての準備、ですね。これについては、道具よりも心構え、のほうが大事かもしれません。子どもたちの体温調節能力は、いろいろな環境にさらされることで鍛えられていきます。大きくなって、暑い場所ではしっかり汗をかき、寒い場所ではしっかり体温を守るために皮膚面を収縮させるなど、生理的な反応を赤ちゃんのときから育てることが大切です。外の冷たい風にあたるのも、身体づくりの一環なんですね。もちろん、冷やすのがいいと言っているわけではありません。さまざまな外気温に触れる時間を持つことが大切なのです。それほど寒くない陽気の日や、日中の温かい時間を狙って、ぜひ外で過ごしてください。歩かない子達も、レジャーシートを敷いた上にごろごろして遊んであげてください。その際は、親御さんも暖かい服装をして、温かいお茶などを持ち、ゆったりと外での時間を過ごせるように準備くださいね。

冬、寒い時期に寒さがこたえるのは、実は赤ちゃんではなくてお母さんであることがおおいです。手首・足首・首など「首」のつく名称の部分を冷やさないようにすること。とくに足首周りを冷やすとむくみや疲労の原因になりますから、しっかり防寒してください。また、男性や赤ちゃんに合わせた環境で過ごすこと自体が女性にとっては「寒すぎる」事が多いです。同じ部屋で眠るとき、ご自身の保温に必ず気を使ってくださいね。

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ライター / 得原 藍

理学療法士。大学卒業後、会社員を経て理学療法士の資格を取得。病院勤務を経てバイオメカニクス(生体力学)の分野で修士号を取得。これまでの知識や経験を生かし、現在は運動指導者の育成、大学の非常勤講師などを務める。また、子育て支援団体との協働で運動発達に関する相談を受けたり、外あそび活動などを行っている。6歳男児の母。